第5話 初めてのつながり(小学生時代)

脳内( )

口語「 」


「きみっ! わたしがちがうっていったのわかんないかな?  それじゃあ『さかあがり』できないよ!」//言葉足らずな低学年女児の声


SE//校庭で遊ぶ小学生低学年男女の笑い声


「もういっかいやるから、しっかりみててね。きれいにクルンってまわるから。えいっ!」


SE//地面を蹴る音。


「ぷはぁ。ね、じょうずでしょ? こうやって、クルンってまわるの。じめんをつよく、バーンってけるの。わかるよね。 さっき、きみはチョコーンってけってたんだよ? バーンってければ、かってにクルンってまわっちゃうから。じゃあもういっかいやってみようね」


SE//少し弱く地面を蹴る音


「がんばれ! がんばれ! がんばれ ! そこでいっぱい、ちからいれてっ! だめ! そのままじゃだめ! がまんして! がまん! あ~……。またしっぱいしちゃった……」


「ぶ~」//不機嫌そうに。


「わたしが、いっぱい、い~~~っぱいおうえんしてるのに……。なんであきらめちゃうの! あしもバーンってけらないし! きみならぜったいできるのっ! できないといやなの!」


「もういっかい、もういっかい『さかあがり』やってみせるから、ちゃんと、みててね!」


SE//地面を強く蹴る音


「あっ!」


SE//ドサッという体から地面に落ちる鈍い音


「しっぱいしちゃった……いたいよう……ぐす……ぐす…」//泣きながら。鼻をすする。


「ばか……ばか……ばか…ばか……ばか……ばか……もうくち、きかないんだから……」


「…………ぐすん………ぐすん………ばか………」


SE//泣きながら鼻をすする音


(きみが『さかあがり』できたらぜったいかっこいいのに……。かっこいい『きみ』がみたいのに)//左右から声が反響して聞こえる。


「ぐすん……あれ……? どうしたの? ぐすん」


(わたしのかおじっとみてる? どうしたんだろ。なにかついてるのかな。おひるにオムライスたべたから、くちにケチャップついてるかも!)//前後から声が反響して聞こえる。


SE//ごしごしと口をふく音


(これできれいになったよね。はずかしかったあ。あれ? まだみてる。ちがうの?わかんない!)


「なに? あ、てをかしてくれるんだ……」


(おきあがらせてくれる。なんかおひめさまみたい。きみは、やさしいな。いつも、わたしだけにやさしいんだ)


「ふ、ふん! きみが『さかあがり』できないせいで、けがしちゃったんだからね! このまま『さかあがり』できなかったら、できるまで、おしゃべりしてあげないんだからっ!」


(あ……つよくいいすぎちゃったかな……。わたしのこときらいになっちゃうかな……)//すごく不安そうに。全方向から反響して聞こえる。


「あれ? きみ、わたしのこときらいにならないよって、いったかな?」


(なんでわたしがかんがえてることわかったの? くちにでちゃってた? はずかしい! )


「え、わたしのこえがきこえるの? こえにだしてないのに……うそついちゃだめだよ!」


(あ……)


「いま……きみのこえもきこえた……わたしのあたまに、きみのこえがいっぱいきこえる……」


(あ~あ~きこえますか~)


「うわあああ! きこえますって!!! あはは!! なにこれ!! おもしろいね!!」


(わたしもきこえますよ~)


「あははは!! ふしぎ~。ないしょのおはなし、しほうだいだね」


(あ~あ~あ~~~~~)//歌う感じで


(わたしのすきなひとは~………いわないよーだっ! あははははは!!)


「『さかあがり』さ、もういっかいやってみようよ! これなら、もっと、も~っとがんばれてってできるから!!」


「バーンだよ。バーン!!」


「がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ~、がんば~れ」//歌う感じで


(がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ)


SE//強く足を蹴る音


「やった! できた! できた! できた! いっかいできた!」


(すごい! すごい! すごい! すごい! かっこいい! かっこいい!)


「あっ……わたしのこえ、きこえたでしょ? いまのはなし! なし! かっこいいなんていってないもん! わたしのなかにいないで! そとにでてっ! そと! はずかしいから、そとにでてって!」


(なかにいないでっ! はなれてっ! あたまのくっつけるのもうおわり!)


SE//ブツンという回線が切れる音
























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