第70話 桁違いの存在
昔、阿倍野稲穂は日本とは別の国、別の名前で生きていた。
こんな海底のダンジョンに流れ着いたのは、王宮が焼き払われ、逆賊から逃れるため船で逃亡を図ったところで船が沈没したからだ。
当時はまだS級ダンジョン『殺生石』は海から上半分出ており、運よく稲穂は流れ着いた。
憔悴した状態だったが、このダンジョン特有の動く狐型の呪物にモンスターにされる呪いをかけられた結果、魔力が自然吸収より多く供給されすぐ回復して始めは喜んだが、ダンジョンから出ようとすると体が動かなくなることに気づき、己の運命を恨んだ。
王に見初められた時点で拒否すれば処刑されるため、拒否権など彼女にはなかったというのに、果てはこうして全てを焼かれ、人外の棲む場所に閉じ込められるなど、自分から起こしたことなど何もないのだ。
必ず脱出して、今度外の世界に出たら好き放題に生きてやると決めた。
ーーー
「なんですか、これは!?」
時にして1500年近く魔力による体の変容が生じ、その全てが魔力系統を中心に作用してきたというのに、目の前の男ーー伊藤には指先一つで破壊されていく。
もうすでに最初に作っておいた自立して動く大狐は破壊され、繰り出す全ての魔法を無力化される。
前までの伊藤の配信を見て、確認した実力と全く違う。
「もしかして魔法を構成する軸を狙ってついてるんですか。見えても突けるわけがないのになんで突けるんです。身体能力がおかしいでしょ」
桁違いに変容が進んだ稲穂としても伊藤は理解不能な存在だった。
ーーー
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