第68話 新協会長の真意
「先ほどぶりですね、伊藤さん」
「……」
顔も瓜二つだし、口調も新協会長そのままだ。
だが新協会長はクルーザーで帰っていることをこの目で見ているし、後から入ってきたとしてもどうやって俺に目撃されずに最深層に来れるのか謎だ。
「モンスターが幻覚を見せてると思ってますか? 私が本人である証拠を出しましょうか」
新協会長似の獣人は何かを投げてきたので、受け取ると、協会員がつけてるバッチだった。
少し装飾が多いが、それは協会長専用のものといったところか。
「ここに持ってくるのは骨が折れたんですよ。上にいる分身を二つに割く必要がありましたから」
「分身? さっき会ったぬらりひょんモドキが使ってた水人形のようなものか?」
「そうです」
ここから遠く離れた都心まで魔法を遠隔で制御できるとはにわかに信じがたい。
「信じられないかもしれませんが、私は前出てきた相間さんよりも長く閉じ込められて、魔力の変容が進んでいるので魔法でできることが多いんです」
体の魔力による変容をアピールするように自分の頭頂部に生えている狐耳を摘むと、新協会長は俺が質問するより先んじて質問に答えた。
「どういう経緯かわからないが、なぜ外にも干渉できないのにここから出ない。それになぜ俺を攻撃し、後ろのダンジョンボスは動きを止めているんだ?」
「ここから出ないのは私が呪物の呪いでモンスターとしてここに縛られているからです。弱っている方が手を貸してくれ安いだろうなと思っただけで、別に害意があって攻撃をしたわけじゃありませんし、後ろのそれは私の魔法です」
「俺をここに誘導したのは、白魔法で自分の呪いを解除して欲しいからで。後ろのはS級ダンジョンボスと同じくらいの魔力で構成された魔法か。筋は通ってるけど信用できないな」
もし元々モンスターにはダンジョンから出られないように呪いがかかってるのだとしたら、S級ダンジョンボスクラスの魔力を持つモンスターを野に放つことになりかねないので、危険すぎるし、個人的にもこの人は胡散臭くて信用できない。
「交渉決裂ですか。では力づくで」
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