第52話 理想の配信スタイル
リーチの長い槍でディヤリさんは難なく処理していく。
端に映るアスカさんの配信画面に映る彼の姿からわかるが、ディヤリさんとアスカさんの配信画面にはかなりタイムラグがある。
おそらくディヤリさんの方はリスナーが彼の動きを目で追える程度まで遅くして写している。
「確かにリスナーさんに彼の動きが見えるように即座に処理してくれるのはいいですが、これじゃあリスナーのコメントとラグが大きくなりすぎて反応できなくなるんじゃないですか?」
「できなくなるわね。配信画面上で彼が一息つく局面に入ったと判断してリスナーがコメントした時にはもう、ディヤリは次の戦闘を始めているもの。だから彼には一切リスナーからのコメントには反応しなくていいと言ってるわ」
「リスナーのコメントに反応しなくていい……。わざわざライブ配信でやる意味があるんですか。それならまだ動画を投稿した方がマシだと思いますが」
「ナンセンスね。ライブ配信が人気を誇ってる状況で誰が動画を取るのよ。この配信が今のニーズに応えた一番無駄のない形の配信よ」
「リスナーがすることは重要視してないんですね」
「してるでしょ。彼らーー同接数のことは逐一チェックしてるわ。あら、あなたの懸念に反して結果は出ているけど」
言葉の通り、初配信だというのに、もうすでにアスカの半分ほどの同接数を叩き出している。
結果を出している以上頭ごなしに否定することはできないが、元配信者としてはエクスプレイが導入しようとする配信方法は必ずこける気がしてならない。
それに個人的な感情として俺が理想とするリスナーと作り上げていく配信の仕方とエクスプレイが大々的に売り出そうとするただ要望に合うだろう配信者を用意するだけの配信の仕方とは相容れない。
彼女の発言で、CEOが喧伝していたような当時の俺の配信スタイルに応えるものではないことを確信した。
一番大事なリスナーとの繋がりを置き去りにして、ただリスナーに全力を出した自分の動き見えるようになっただけではなんの意味もない。
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