第27話 安全牌


しばらく時間の都合で、文字数が少なくなります

よろしくお願いします


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 望月さん大丈夫だろうか。

 周りの配信者と比べて10倍以上のペースで魔力回復を行なっていてなおかつ、鼻血を流していたけれども。

 魔力による体の変容だと思うので、痛みがあるだけで大丈夫なはずだが。


 ・イトゥ魔力回復どんだけできんねん

 ・百人近くおるのに満遍なくできるって効率がいいだけでは説明できんやろ

 ・光魔法使いじゃなければマジでDと同等レベルだろこの人

 ・Dは雷と風と土の3属性持ちだって話だから流石に無理よ

 ・Dがイトゥだとあれほど

 ・光魔法エアプは黙とれぇ!


 リスナーについては今のところ気にした様子はないが、中には血を見るのが苦手だという人もいるかもしれないので、安全をとるなら望月さんが映らないように剣道さんやアスカをもう少しズームして写すように進言するべきだが。

 流石にそれはあまりにも温情がなさすぎる気がすると思う。

 しかし、その一方で、ただ昔過剰に頑張って結局報われなかった自分を彼に重ねて、過剰に肩入れをしているような気もする。


 ここ一番のイベントであるし、事務所や他の配信者のことを思うのなら私人としての感情を挟むべきではない。

 マネージャーとして望月さんのことを考えているのか、伊藤淳として彼を介して過去の無念を晴らそうとしているのかが区別できない。

 もし後者だとすれば、自分の欲望を最優先して、担当しているアスカさん、他の配信者を切り捨てた碌でなしだ。


 やはり自分の感情への疑念を払拭するためにも、安全をとるべきだろうか。


 意思が傾きかけると社用携帯が震えた。

 会社からの報告かと思い、SNSを確認するとアスカさんからだった。


『そのまま写して』


 目的語がないので断定はできないが、前後に起きたことを踏まえれば、望月さんをそのまま写せということだろう。

 前から異様に勘のいい時があるとは思っていたが、今回は一段と鋭いように感じる。

 アスカさんの中で何か望月さんに関して気になるところがあったのかもしれない。


 無下にするようなことをすれば、彼女は気分屋なので、配信を放棄してしまう可能性もある。

 安全をとって担当配信者から愛想を尽かされてこのイベントを失敗させてしまうのはあまりにも馬鹿馬鹿しすぎる。

 このまま続けよう。



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