第26話 配信最前線
必死にサーベルを振るう。
トップ攻略者の剣道の周辺で、なおかつダンプロ公式配信のドローンが写している場所ーー最大限の恩恵を受けられる場所で、一心不乱に水魔法でエンチャントを施したサーベルをエボリューションは振るっていた。
同接数がいつもの10倍以上になっているとはいえ、今このイベントの恩恵を受けているのは、アスカも同じなので彼はこの状況でも安心できなかった。
その逆に自分の使っている武器が曰くのあるもので、過度な期待を向けられていることもあり、無理をしていた。
振るうことで武器がエボリューション自体に大きな力を与えるものでないこともわかってきたので、それを知られることで興味を失い勢いを失うことを恐れていることもそれを助長していた。
ただ忠実に持ち主の力に答えるだけのサーベルを振るって、彼は誰よりも目立つしかないと思っていた。
・今日気合い入ってんね
・ゲーミングサーベル使ってるから水魔法のキレ良いな
・C級ダンジョンモンスターとどっこいどっこいのエボリューションがS級ダンジョンで怯まずに戦えてるレベルだからな
・発光がアレやけど欲しい
・サーベルがアレとかじゃなくてエボちゃんも普通に頑張ってるだろ
・同接10万キタああああ!
エボリューションにとってせめてもの救いは魔力が尽きず、補給されることで派手な大技を何度も際限なく発動できていることだった。
これができるからこそ、辛うじて見た目の面では剣道やアスカに負けず劣らずの戦いができているように見せることができていた。
大質量の水玉を再度テラゴブリンにぶつけようとすると、アスカのいる方角から「同接1億」という機械音声が聞こえ、一瞬動きが止まった。
エボリューションの同接の実に1000倍。
圧倒的な差だった。
ショックを受けている間にも差が開くと言い聞かせたエボリューションは水玉をぶつけて、さらに追加でテラゴブリンの大きさにも負けずとも劣らない水玉を作ってぶつける。
「っ!」
急に頭痛したと思うと、鼻から何かが垂れる感じがして、エボリューションが手で拭うと血が手についていた。
魔力の消費と補給が凄まじいペースで繰り返されることで、常より早く魔力の変容が進むことによる反動だった。
事情を知らないエボリューションにとっては不吉に思えてならず、冷やせが吹き出し始める。
『望月さん、大丈夫ですか? 血を流されているようですが?』
インカムから伊藤の声が聞こえてくるとともに、回復がかかり、幾分疲労と気分が和らぐ。
「ええ大丈夫です」
『なら良かったです。大きいイベントですが、無理をしないでくださいね』
内心ではまずいのではないかと思いながらも、エボリューションは平静を装うと、再び大技を繰り出した。
ーーー
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