第15話 S級ダンジョンの主


 三つの頭と六つの腕を持つリザードマンの二つの頭に雷撃が撃ち込まれると、残りの頭に電撃が伝播して爆ぜる。

 魔力による体の変容が終わったことで、剣道さんの雷魔法は着弾すると任意に拡散と爆発をすることができるようになった。

 俺の光魔法の場合は結界だったので、守りにも足場にも使えるため、便利なのだが、やはり、純粋な攻撃能力アップは羨ましい。

 極論攻撃が強化されれば、相手の反撃を受ける前に方をつけるのが可能だからだ。

 一発で倒せるのならば極論、防御も回避も必要ない。


「この階段の下から今までより濃い魔力を感じるが、この先がボスがいる場所で合ってるだろうか」


「この魔力の感じはまず間違いないと思います」


 下の層の魔力を見ると、図体の大きな魔物とその周りを一回り小さい魔物が4体囲んでいるのが見えた。

 大きいのがボスで、その周りにいるのは取り巻きだろう。

 ボスも取り巻きもこのダンジョンで見たどのモンスターよりも魔力が高い。


 強化を最大にして先頭に立って階段を降りていく。

 降りていくと今までのような土色の場所でなく、灰色の石造りの空間が現れた。

 天井が壊れ、陽射しが降り注いでいる。

 上の階が普通のダンジョンであり、日差しが注いでいないことを考慮するとあり得ない光景だ。

 今までダンジョンに多く潜ってきたがこう言った変わった形のフィールドは初めて見る。


「グアアああ!」


 日差しのもとで周りにいる取り巻きの赤、緑、水、土色の竜と戯れていた一回り大きな黄金の竜が雄叫びを上げる。


「確認されている最強の赤竜が取り巻きか。あの中央でふんぞり帰っている竜はいったいどれほどの化け物なんだ」


 剣道さんがごちると、周りにいる竜たちが黄金竜の周りから散開し始めた。

 やはりというか、バラバラに動いて攻撃してくるらしい。


「剣道さん、水色のやつをお願いします。あとは俺が引き受けます


 剣道さんに一つの竜の相手をしてもらうように頼むと、竜巻を身に纏いながら緑竜がこちらに向けて降下してきた。

 結界を前方に展開して防御する。

 手早く叩いてしまいたいが、あいにく竜巻が凶悪すぎて攻撃した瞬間に裂傷だらけになるので、一度竜巻が消える瞬間を待たなければいけない。

 竜巻は結界とわずかに拮抗すると打ち破ってきたので、即席ですぐに結界を貼り直す。

 竜巻と完全に拮抗し、竜巻が消えるかと思うと、緑竜がアギトを開けて、結界を食い破りにかかった。

 そのまま食い破られて結界ごと頭から食べられるわけにもいかないので、結界越しに顔面を殴りつける。

 結界が砕ける音がすると、緑竜が牙二本を残して、飛んでいく。


「ギャアアアアアア!?」


 特に意図したわけではないが、緑竜が黄金竜のところに吹っ飛んでいき、激突した黄金竜が悲鳴を上げた。


「グオおおおおお!」


 剣道さんに惹きつけてもらっている水竜以外の2頭の竜ーー赤龍と土龍が怒りの咆哮をあげて、こちらに向けて殺到してくる。

 先ほどの緑竜と同じように体に赤竜は燃え上がりながら、土竜は尖った岩石を纏って。

 緑竜のように風をコントロールして避けられる可能性もないので、天井の虚空に向けて拳を振りかぶる。


「ゴアアアアア!?」


 拳によって起こされた空気圧に襲われた赤竜と土竜は錐揉みしながら、目の前に墜落してきた。



ーーー


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