第5話
過去編1
俺と義妹はご近所様だった。だから元から仲が良かった。
妹のなるは、元気で優しい年下な女の子って印象で、俺の遊びによく付き合ってくれた。
そして、
ある日、絶望した顔で家にやって来た。
「今日からお兄ちゃんになるんだぞ」
「えっ俺が??」
俺にとって妹は大切な人だった。前は大切な親友だった。それから妹になり更に大切さが増えた。
妹が元気になるように何度も声をかけた。徐々に妹は前の笑顔を取り戻してきた。
だが、俺たちの家に強盗が入り、両親は殺されて俺は必死に義妹を守る為に抵抗した。
俺もしばらくはショックで立ち直れなかったが、妹の悲しむ顔を見て、落ち込んでる場合じゃないって思った。
それから料理を頑張って、色々頑張って、妹はまた元の笑顔取り戻してくれた。
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「お兄ちゃん・・・ごめんね。」
「違う、お兄ちゃんが悪いんだ」
「私・・・お兄ちゃんを今度こそは助けるって決めてたの・・・ずっと毎日お兄ちゃんの悲しむ声、辛かったこと毎日聞いてた」
「妹」
「なのに、私は・・・私は」
妹は泣く、昔の絶望してる顔じゃ無い、悔しくて悲しくて泣いてる。
「いや、お兄ちゃんが悪いんだ。原因を作ったお兄ちゃんが」
「違う、私がお兄ちゃんから逃げたの、お兄ちゃんが怖くて逃げたの」
「・・・それは、襲われたから逃げたわけじゃないでしょ」
「・・・そうだよ。」
「受験があったから、俺のせいで受験に受からなくなると思われるのが怖くて逃げたんでしょ」
「うん」
「妹は俺が痴漢したなんて、思ってなかっただろ。」
「うん、そんなの思う訳ないよ」
「・・・そうだよなぁ」
きっと義妹は俺に嫌われたかったんだ。俺が強く罪悪感を感じてしまうことを知ってたから。
「ごめんなぁ、辛い思いをさせて、ごめんなぁ」
「私の方こそごめん。お兄ちゃんのためになれなくてごめん」
俺たちはしばらく抱きしめあった。半年の会えなかった分をうめあわせるように。
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