第4話 視点は地味だけど超重要技術
視点を意識すると地の文は物凄く書きやすくなります。
視点とは、要するに地の文の語り部の選択です。作者、キャラクターか、大体この2択です。専門的な言葉で表現すると、3人称作者視点、3人称一元視点の2択です。この2択を作者の個性や作品のその時の雰囲気でちょっとずつ客観性を変えながら使い分けます。そこまで難しくはありません。
けれど、視点の概念を知らないと、作者が喋っていたかと思えば突然Aくんが心情を吐露し始めさらにはBさんが頭の中でAくんを罵倒し始めたりと、視点が二転三転しがちです。視点混同というミスです。これは読者にとって読みづらく没入感を妨げるだけでもなく、作者自身も地の文で今何を書けばいいのか分からないという混乱を産み出します。地の文が書けない主要な原因の一つにもあげられます。とかく視点は統一しましょう。ツボを押さえて統一しましょう。
また視点には視点者が知らない情報を語ってはいけないと言う決まりもあります。知らない情報は語るのはおかしいからです。この話をするとじゃあ作者視点は何でも書いていいんだなという話になるのですが、それが地の文を難しくしている主要原因でして、なんでも書いていいけど、適切な情報の取捨選択が必要になります。要は無駄口を叩くな的な無駄な文章を書くなという話なのですが、初心者にはとても敷居が高いです。なので、最初は作者視点ではなくキャラクター視点の三人称一元視点がお勧めです。
ちなみに1人称が初心者向けとされる理由は上記の間違いを絶対に犯さないからです。俺くんが話してる時に、「あ、間違えちゃった!」と私ちゃんに話者が変わる訳がなく、「やべっ、底辺高校出身の馬鹿にフェルマーの最終定理の解法を語らせちゃったよ」みたいなミスをする訳がないからです。
前者の三人称一元視点がお勧めする理由も1人称をお勧めする理由と完璧に同じです。殆ど1人称のノリなため書きやすく、また読者受けもいいです。現代の三人称小説の多くは三人称一元視点で書かれているくらいには読者受けがいいです。なので、最初は作者視点ではなくキャラクター視点の三人称一元視点がお勧めです。小説に最も適した視点だからです。主人公に寄り添い、主人公の視点で話が進み、主人公が地の文を語り、主人公の知ってることだけが語られる。共感性が高くて分かりやすく、読者受けがいいからです。また、作者にとっても書きやすく、視点を意識した地の分の入り口としては最適かなと僕は思っています。
慣れてくると作者視点と一元視点を適度に混ぜて書くなんてことも普通にします。感覚に合う書き方を選ぶようになります。文章は本質的には自由なのです。でも、やっぱ最初は過剰なほど一元視点を意識し他方がいいと思います。一元視点に慣れれば、地の文なんて所詮ちょっと体裁を文語体に整えただけの話し言葉だと分かってくると思います。それが飲み込めれば地の文はブレイクスルー的に一気に書きやすくなります。そこが一元視点習熟の一先ずのゴール地点かなと僕は思っています。
失敗作の凡人作法でもこの視点の話はしています。もしよろしければお目通しを。
加筆してるうちに1000文字超過したたのでもうぶつ切りに話終わります。
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