第8話 失敗は成功のもと
ひまわりの一件は俺に深い後悔と教訓を残した。相手の為だと言い訳して面倒なことから逃げるのは、結局もっとしんどくて辛い結果を生む。他の二人が何をどう感じていたのかはわからないが俺はそう思った。
その年のひまわりの世話はそんな風に悲惨な結果に終わったが、梅と野口と俺の三人はそれからいつも一緒にいる様になった。
まず、そもそもイヴがひまわりの種をたくさん食べられる様にと植えたはずのひまわりだったのに、ひまわりはイヴのお墓をめちゃくちゃにした。
卒塔婆がわりのかまぼこ板もひまわりの残骸に巻き込まれて何処かに行ってしまった。
三人で今度は無くならない様にと大きな石で墓石を作ることにした。石に字を掘るのは思った以上に難しくて失敗したり、流血したりとてんやわんやだったが楽しかった。
ひまわりの事でお世話になった野口のじいちゃんに一からひまわりの育て方を習って、来年こそはキレイな花を咲かせようとみんなで誓った。まだ植えていなかった野口の種を使ってのリベンジだ。
6年生のクラスは5年の時のまま持ち上がりだったので三人とも同じクラスだった。
野口はもう梅と計算ドリルと漢字ドリルで叩き合ったりはしなかったが、俺も含めて言いたい事を言い合って喧嘩出来るぐらい仲の良い友達になった。
三人で野口のじいちゃんの畑を手伝わせて貰ったり、俺の家の寺で肝試しをしたり、リベンジひまわりの世話をしたりといつも一緒に遊んだ。
リベンジしたひまわり達は太陽に向かって大きく花を咲かせた。梅のひまわりみたいな笑顔を見て野口も同じような笑顔を見せた。
ひまわりが咲き終わると、じいちゃんに教えて貰った通りに種を乾燥させるとビンに入れて、それぞれで持って帰れるように分けた。もう三人一緒にひまわりを育てる事は出来なくなるから……
野口の家は地震の時倒壊した為、その時県内だが違う市に引っ越していた。野口は転校するのを嫌がってじいちゃんの家から俺達の小学校にそのまま通った。土日はお父さんとお母さんの家の方に帰ったり、お父さん達がじいちゃんの家に泊まりに来たりしていたらしい。でも中学生になればお父さんの家から通うので俺たちとは違う中学校になる。
そんなに遠い場所ではないのに、学校が変わるのはもう二度と逢えない様に感じた。あまり考えない様にして遊んでいたが、それでもやっぱり卒業式の日が迫ってくると何となく気持ちが沈んだ。
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