ギルガメッシュvsエルキドゥ 決着

 南條なんじょうとヴィクトルはもちろん、安心院あんしんいんも、観客の皆もこの戦いで初めて理解し、察した上で黙っていた。

 これが正真正銘、最後の攻撃。この一撃を制した方が、勝つ。

「上に天なく下に大地なし。されどここには俺がいる。伝い、崇め、奉れ! 俺の名は、全ての英雄の祖先にして始祖! 我が名は――“深淵覗き見た全知の人ギルガメッシュ”!!!」

 解き放たれた特大の一矢。

 黄金に輝ける神々しき一撃が、戦場の端から端まで駆ける。

 が、エルキドゥの姿も消えた。

 誰もが戦場の隅々を見回し、エルキドゥを探したが、見つけた時には既に勝負は終わっていた――いや、実際に言えば、最後の一撃が繰り出されていた。

 最後の矢に片腕を持って行かれながら肉薄したエルキドゥはギルガメッシュへと突進。そして頭突きした、と、思った皆が目を疑った。

 エルキドゥは女性の姿に変わっていたかと思えば、ギルガメッシュの唇に吸い付いていたのだから。

「これで最後だよ、ギル」

 直後、ギルガメッシュの体が内側から爆ぜる。

 何が起こったのか、周囲は理解出来ていない。

 だがギルガメッシュだけは、ようやっと理解した。

「俺に……神標ディンギルを……」

「君が三分の二だけ神様だったのは、全てが神の体だと君の体が持たないからだ。だから神は、君にこれを授けなかった。神の過剰な加護こそ、君にとって最大の猛毒だったんだよ」

「結局……最後まで考える事を、放棄していた……俺の……負けか……」

「そうだね。君は一切考えていなかった。私の力も。私の気持ちも。私が初夜権について怒っていた本当の理由は……」

 立ったまま。

 最後の最後まで、膝を屈しない。

 実に彼らしい。だがやっぱり、彼は全知ながらに馬鹿だった。

 最後の最後まで、女心に気付けなかった。

「本当、君って人は……」

『転生者大戦! チームヴィクトリア対チームルーザー! 第四試合、勝者は……! エルキドゥゥゥゥッ!!!』

これぞ最高のエンターテインメントだThis is the best entertainment!!!」

 

 第四試合。勝者、チームルーザー。エルキドゥ。

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