第20話 カイル 明日のために…… その7
妹には何故それが出来てしまうのか、俺にはさっぱり分からない
そりゃね。元ネタはあるにしても俺が頭の中で一生懸命考えた修行方法ですよ。
第一層、第二層、なんて言い方も、もちろん『イカしてる』って俺は思ってるし、修行の内容だって一応理屈は通してみたつもりだ。
一層は、脳内にバーチャル空間を構築してそれに瞬時にアクセスする……だっけ?
二層は確か……。身体の全筋肉を完全に制御して、目を塞いでいても考えた通りの動きが出来る。だったよな。
でもねぇ……。それが出来るなんて俺はこれっぽっちも思っていなかったわけですよ。
「ホント。理屈だけで出来るんだったら、この世の中に『科学者』なんてものは必要無いっつの」
「……」
「ん?」
「待てよ……」
今、俺。ちょっと大事な事言ったよな。
科学者なんていらないとか、なんとか。
あの……。俺、ちょっと思い出したんですけど……
「良く考えたら、こっちの世界には科学者なんて一人もいねぇわ」
そう言えばこの異世界には『魔術師』だ『錬金術師』だ、そんな願いや想いを形にしちゃいます的な、手品師かペテン師みたいな奴らは五万といるが、そんなの異世界から転生してきた俺にしてみりゃどれも理屈にかなっていない。
それってさ。
「うぐぐっ〜」って念じたら、なんか力が「ぶわー」って溜まって、「うりゃ~」ってやったら火の玉出た。みたいなレベルなんですよ。俺に言わせればね。
よくよく考えたらさ
万有引力?質量保存?
この世界は、そんなの全くお構いなしじゃないか。
この前、冒険者のおっさんに見せてもらった『ファイヤーボール』の魔法で一気に台無しになった俺の知ってる物理法則。
ならば、この世界でそう言った『物理法則』に変わる物は何だ?
確かにこっちの世界でも、リンゴは地面に落ちるし、沸かしたお湯は消えちゃうんじゃなくて、水蒸気となり雲となり雨を降らせて大気を循環する(多分)。
しかしこの異世界って場所には、その物理法則さえ捻じ曲げてしまう上位の存在があるのだ。うん。そうに違いない。
そして、俺が思うにそれは『意志』もしくは『意思』の力だと思うんだ。
妹が見せてくれた、信じる力。どうしても修得したいと言う努力と根性。
多分それだよ。絶対それ。
もちろんその中には怒りや悲しみって奴らもいれておこう。
だって俺がよく知ってる、超宇宙人とか海賊王になりたい奴とかさ……。他にもたくさんいるけれど。
不可能を可能にするヒーローの力ってのは、いつだって理屈より『信じる力』だろ?
まぁ……。
てなことを約1日半くらいで考えついた俺は、とうとう妹の修行を本格的な剣術へとシフトしていく。そこにはついさっき新たに解き明かした『俺理論』ってやつをふんだんに盛り込んでね………。
「ふぅ~。カ◯ハメ波ってどうやって打つんだっけ?ちゃんと覚えておけば良かったな……」
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