剣なんて握ったことの無い俺がでまかせで妹に剣術を指導したら、最強の剣聖が出来てしまいました。〜Millennium nine swords〜

鳥羽フシミ

第一章(完結) 剣なんて握ったことの無い俺がでまかせで妹に剣術を指導したら、最強の剣聖が出来てしまいました。

第1話 レイラ 負を求めし剣聖(読み飛ばし可)

 王都ナンバークまで、おおよそ十日の距離へと迫った帝国軍は、王国最後の防衛戦であるレーンスタット領ムズール川の北岸にてその電撃的な侵攻から方針を一転する。帝国軍は今まで見せていた強引なまでの進軍をさっさと諦め、今度は王国軍の疲弊を待つべく持久戦の構えを見せるのである。



 戦況が膠着してから既に三年が経過し、それまで泰平の世にうつつを抜かしろくに軍備を整えてこなかった王国軍は、その首を真綿で絞められるように徐々にその体力を奪われて行った。



 国民は既に戦意を失い、国王さえも王国の行く末に希望をなくしかけていたある日のこと。



 幾重にも帝国軍が取り囲み、その日の突撃を最後に陥落かとも思われたムズール川北岸の砦の城門の前に、まるでたった一人で帝国軍全てを相手にするかのように立ちはだかる一人の少女の姿があった。



 まだあどけなさが残る黒髪の少女は、ゆったりとした白い衣装に防具のひとつも身に着けぬまま、一振りのみすぼらしい剣を携えて、その身一つでいったいどうやってこの砦までたどり着いたというのだろうか。



 その少女の名はレイラ=バレンティン



 黒く大きな瞳に強い意志を携えた少女は、この大戦の後、新たに増設された白騎士団の団長に抜擢され、十六という若さで新生王国軍の一翼を担う存在となるのである。


 大戦の最中さなか。彼女は、戦場で高らかにこう叫んだと言う。



「私を負かせる者はいないか!」



 そして、戦場から戻って来た少女の身体には傷のたった一つさえも見つけることが出来なかったと言う。



 斯くしてここに救国の英雄が誕生する。そして、人々は彼女のことを尊敬と畏怖の念を込めてこう呼んだ。


 『を求めし剣聖』と。





 なんてね………。


 けっこう格好良い始まりでしょ。実はこの『剣聖』俺が育てたの。


「でも。それって、ちょっと凄くないですか?」





◇◆◇◆◇◆




数多くある物語の中から、この物語を選んでいただきありがとうございます。


現在、この物語の加筆修正版『〜Millennium nine swords〜シン・剣なんて握ったことの無い俺がでまかせで妹に剣術を指導したら、最強の剣聖が出来てしまいました』をこれとは別に書き始めています。


https://kakuyomu.jp/works/16818093089826597403


私自身が不満や不完全燃焼だったり部分と、評判の悪かった部分を修正して、新たに物語を再構築する予定です。


序盤の妹成長物語はそのままに、新しいエピソードが入るのは、だいたい30話前後からになると思います。


そこにはレイラとカイルが離れ離れになったいきさつや、褐色の麗人ドーマとの因縁などが追加される予定になってます。


もしこの物語を読んで(加筆修正版)にも興味を持って頂けた方がいらっしゃいましたら、少々時間は掛かるかもしれませんが、そちらの方もお付き合い頂ければ幸いです。

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