第25話 緊急ミーティングの話
火曜日、お仕事です。
当然ながら志穂ちゃんと顔を会わせることになる訳で。
前回はあっさりと志穂ちゃんのほうからお断りされたから何もなく過ぎたんだよね。今回はどうなるのか分かりませんが、とりあえず身支度を済ませて出勤。
「志穂ちゃん、おはよー」
「加奈さん!おはようございます!」
お、明るい。また吹っ切れてるのかな?
「昨日も色々聞いてくれてありがとうございました」
「あー、ちゃんとした先輩じゃなくてゴメン」
「あれ、加奈さん昨日より元気ないです?」
私のほうが余計なの引きずってるな
「ゴメンゴメン。ちょっと考え過ぎて自己嫌悪というか・・」
「あ・・私のせいですか?」
「ううん違うよ。私自身の事」
「そうですか・・」
なんか心配させてるなぁ。ダメな先輩だ。
「そのうち立ち直るから、大丈夫だよ」
「私も加奈さんの悩み相談聞けたらいいんですけど」
「気に掛けてくれる後輩がいてくれるだけで充分だよ。ありがと」
「その、ゆうべの話、金曜の事なんですけど」
「うん」
「しっかり寝て、酔いも覚めました」
「おう」
「それで、どうしようか迷ってます」
「・・冷静になった?」
「はい。やっぱりお酒の勢いもあったと思います」
「うん、そうだね」
「加奈さん、冷静になってからの逃げ道用意してくれてたんですね。今になって分かりました」
いや、その場しのぎでしたけど
「ま、まぁいいじゃない。飲み会での笑い話にしちゃおう」
「加奈さんは私の事をいっぱい考えてくれる、優しい先輩です」
あ・・そんな先輩でいいの?
「飲み会で私が言った事は聞き流していいよ。金曜の話もキャンセルってことね」
「いえ、冷静になってからも、希望は変わってないんです」
ゲフッ
「あ、う、うん?」
「加奈さんの事、もっと知りたいなって思ってます」
「志穂ちゃん?」
「もちろん、私は女の子と、じゃなく加奈さんだから教えて欲しいんです」
「つまりその・・彼氏とは別腹みたいな?」
「はい♪」
先輩としては少し救われたけど、別の部分はダメなのね。またサキュバス的な方向にシフトして納得しているらしい。
「むぅ・・気が変わったら言ってね」
金曜まで数日あるし、それまでに何とかなるかな?様子を見よう。
その後。
「志穂ちゃん、クリップある?」
「ありますよ」
「ひとつもらっていい?」
手を出すと
「はい(ニギ)どうぞ♪」
伸ばした手を捕まえてから、反対の手でクリップを乗せてきて微笑む。
志穂ちゃんや、合コンで男性に気があると思わせるボディタッチ的なのを私にしないでおくれ。反応に困る。
「お二人さん、またなんかあってるのか?」
課長も違和感を感じたみたいですね。
「さぁ、どうでしょう?」
「まだありませんよ?」
「ちょっ、志穂ちゃん?!」
「・・まだ?」
「はい、まだですよね?加奈さん」
「えーと、んー・・まだだね」
「・・つまりこれからか?」
「今のところその予定です」
「・・・みたいです」
「手でも握られたか?」
「ちょっ、課長?!」
「手首までです・・って、なんで課長が分かるんです?」
「多分、同じ相手に魅了されかかったからじゃないか?」
「かちょー!」
「えっ・・課長も?」
「今から30分仕事は中断だ。ミーティングするぞ」
「ミーティング?」
「何の?」
「今抱えている問題・課題の明確化と、できればその対策、だな」
「そーゆー課題では無いような・・」
「そうか?二人とも仕事になってないだろ?」
グハッ
「その、私のせいなので志穂ちゃんは悪くないです」
「えっ、加奈さんは何も・・」
「・・だから、そーゆーグダグダしたの、一回吐き出してしまえ」
「でも、個人的な事ですし・・」
「言いにくい事を色々思い悩んでるのは・・オレもだ」
ハァ?!
「その、課長の話って?」
「どうせ二人の悩みは、どっかの淫魔が絡んでるんだろ?オレのもだよ」
「かちょー!」
「淫魔ってサキュバスとかの?・・そっか。課長も参戦したいんですね?」
「し、志穂ちゃん?」
「そうだな。何らかの区切りはつけたい」
「つまり、今のままは嫌って事ですか?」
「そうだな。機会があればまたスイッチ押したいと思ってる」
「またって・・押したんですか。ちなみに、課長は加奈さんとどこまでした事あるんですか?」
「ちょっ、二人とも?!」
「・・ヘビー級のB?」
ギャー
「なっ!私よりいいじゃないですか!私も加奈さんにして欲しいです!」
うわぁぁぁ
職場崩壊したよ。
「志穂はあんまり悩んでるって感じじゃないな。吹っ切れてるというか」
「そうですね。恋愛と性欲を別々にしちゃえたら悩みませんね」
そーですかぁ
「課長は加奈さんとBより先に進みたい、ですか」
「俺は割り切った付き合いしてくれなんて言えない小心者なんだよ」
「ちゃんと幸せにするって言えばいいじゃないですか」
「志穂と同じで恋愛対象じゃないんだ。それに、加奈は見合いで俺以外の相手探してるの分かっててるからな」
「じゃあ課長は割り切った関係を断られたらスッキリですか」
「そうかもしれんが、もし断られなかったとしてもダメかも知れんし」
「加奈さん相手にエッチに自信が持てないんですか?」
「そりゃ自信なんか持てねぇよ。EDになってから加奈以外で勃った事ないんだから」
「あ・・それは自信持てなさそうですね」
何この暴露大会
「そもそも相手が加奈だぞ?エロい事の自信なんか持てないだろ?志穂は自信あるのか?」
「そ、そんなのあるわけないですよ」
この二人にとって、私はどーゆー位置づけなんだろ
「で・・・加奈は?」
「は?」
「何を悩んでるのか教える気になったか?」
「あ、あー。そうですね」
これまでのやり取りより、普通なんじゃないかと思える
「志穂ちゃんとエッチな事をして、気持ち良くさせられるか考えてたんですが」
「キャー♪加奈さん♪」
「いつの間にか見返りを求めてることに気付いてですね」
「「見返り?」」
「うん、するだけじゃなくて私もいっぱい気持ち良くなりたいって」
「・・それで?」
「そんな見返りを欲しがるのが浅ましく思えて・・私こんなヤツなんだなって」
「「・・・」」
「見返りで動くような先輩でごめん」
「「それだけ?」」
「えっ?」
「見返り求めて何が悪い?」
「悪くなんかないですよ。加奈さんはいい先輩です」
「無償で奉仕してばかりの聖人にでもなりたいのか?」
「いや、そういうつもりじゃないですけど」
「志穂はそんな完璧なデキた先輩が欲しいのか?」
「いえ?普通に優しくて男前でエロ可愛い加奈さんがいいです」
「だ、そうだ。悩む必要あるのか?」
なんだコイツら
「俺も、加奈は加奈のままがいい。そうじゃなきゃつまらん」
とんでもない話しかしてないのになぁ
「加奈さん、金曜はキャンセルします」
「志穂ちゃん・・」
「私も欲しがってばかりの後輩なので。加奈さんも知らないキモチイイを見つけたら、その時相手してください」
「志穂、それは無理じゃないか?」
「彼氏のいない加奈さんには、彼氏とラブラブだから出来る事があれば楽勝です」
「うぐっ・・」
「俺はどーすっかな」
「加奈さんにちゃんと惚れてから出直せば勝算上がりますよ?」
「なるほど、巨乳派の俺には難題だな」
「課長?!」
こんな職場、おかしいよ。性癖やら経験やらを暴露しまくって・・・
なんだか泣きたくる程度に居心地は悪くないです
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