第23話 満足するまで手を繋ぐ話

お見合い後の週明け。お仕事です。

志穂ちゃんから質問責めにあいました。見合いはどうだった?相手はどんな人?すぐ結婚するの?などなど。まぁ想定通りなので対応していきます。

そんな感じで退社時間になり、今夜も居酒屋の一角で志穂ちゃんとくっちゃべっています。


「加奈さん、今日は珍しくどんよりしてませんか?」

「どんより?元気だよ?」

「いつもはもっと休み明けツヤツヤしてる気がします」

志穂ちゃん、前に言ってましたね。


「ツヤツヤって週末までストレス貯めて、休みに発散って言ってた意味の?」

「そうです。お見合いとかでストレス発散出来なかったですか?」

「んー、普段と違う週末だったのは確かだけどそんなに違う?」

「いつもはもっとスッキリ週明け加奈さん?うまく言えませんが」

「そこまでお見合いとかをグダグダ考えてるつもりはないんだけどなぁ」

「久しぶりの実家で気を遣ったとか?」

実家は・・控え目でしたね。筋肉痛になってないし。


「普段の過ごし方とそれほどの差は無いと思うんだけど」

「気のせいなら良いです。それより私はどうですか?」

「ん?志穂ちゃんも元気ないの?」

「逆です。加奈さんのアドバイス試したら、彼氏と良い感じでした♪」

あのいい加減なアドバイスを実践したのね。


「ほほう、詳しく聞かせてもらいましょうか」

「ほんのちょっと、どうして欲しいとか、どうされたいとかを話しただけなんですけど」

「私にはハードル高いとか言ってたのに頑張ったね」

「いやー、恥ずかしかったです」

「具体的には?」

ちょっと志穂ちゃんが顔を寄せて小声になる

「いっぱい舐めてって言ったらホントにしてくれて、私もしてあげました」

こっちが赤面するような事を耳元で言われてもなぁ


「でも良かったね。ちゃんと応えてくれて」

「はい。良かったです」

要望に応えてくれて良かったのか、快感的な意味で良かったなのか、両方なんだろうな。


「いいなぁ。羨ましい」

「えへへ、加奈さんのおかげです」

「そりゃどうも」

「加奈さんなら、どんな風にして欲しいとか言うんですか?」

「いやぁ・・その時の気分かな?」

「えー、たとえばどんな?」

適当に色々言って切り上げよう。


「ぬぅ。たとえば・・とことん優しくとか、反対に欲望のままに激しくとか?」

「また両極端・・緩急つける感じですか」

「私がしたいように動いたり、相手のされるがままに身を任せたり?」

「・・・」

「ラブラブな関係もあれば禁断の恋とか?シチュエーション次第で気持ち良さとか求めるものは違っちゃうよね」


あれ?志穂ちゃんついてきてない?


「・・加奈さん、今までどんなエッチしてきたんです?」

「いやいや、例えばの話だから」

「されるがままって、ただ黙ってエッチする感じですか?」

「えっ・・と、物や道具のように扱われても、身体が喜んじゃって、自分の淫らな部分を暴かれる、とか?」


「・・禁断の恋っていうのは?」

「先生と生徒とか不倫とか?惚れちゃダメなのに惹かれる感じかな」

「女の子同士とかも?」

「普通じゃない事への憧れといえば入るかも?」


「・・好きでもない相手とそういう事になっても気持ち良くなっちゃうんですか?」

「それは無いと思うけど・・」

「けど?」

「私にとって、一番イイ大きさ?長さや太さや形、あと熱さとか、そんなのがあったらどうなるんだろう・・なんて」


「加奈さん、性癖ヤバいです」

「・・言ってて自分でそう思ってたトコ」

完全にソロ活動モードでした。

ソロ活動を頑張りすぎてるお陰で、妄想する能力が上がったというか、どんなシチュエーションでも気持ち良くなれる結末を模索できるようになった気がしてます。


「やっぱり彼氏とするより加奈さんとするほうが気持ち良さそう」

「いやいや、好きな人とのほうがいいって」

「例えば女の子同士なら、加奈さんはどんな事しちゃうんですか?」

「真っ赤な顔してそんなこと言わないで」

「えー、さっきまでがあんなにノリノリだったじゃないですか。教えてくださいよ」

「志穂ちゃん、酔っ払ったわけじゃないよね?どうしちゃったの」

「ちょっと興味が出ちゃっただけです。それで、どんな事されちゃうんですか?」

んー、ちょっとまずい。


「ちょっと落ち着こうか。ほら彼氏の事とか思い出して」

「彼氏と比べたらいいんですか?」

かなり宜しくない


「いやいや、女の子同士ってのを一旦置いこうよ」

「私がじゃなくて加奈さんがどうしたいかって話を聞きたいだけですよ」

妄想スイッチが入ってしまいそう


「私が女の子同士だとどうしたいとか、どうされたいとかでいいの?」

「加奈さんの思うエッチなのってどんなのかです」

聞きたいのかぁ


「それは私の妄想を知りたいってことでいいんだよね」

「はい、そうです」

仕方ないなぁ


「そうね・・。とりあえず手を繋ぐ、かな?」

「あれ、思ったより可愛らしいですね」

「んー、手を繋ぐだけじゃ物足りないって思うまでそうする」

「・・物足りない?」

そっとてを伸ばして志穂ちゃんの手に触れ、小指をやさしく、でもしっかりと捕まえる


「そうだよ、小さな欲求をひとつひとつ叶えていくようなエッチがしたい」

「えっ・・」

そっと小指を指先だけで撫でる。


「今の幸せを満喫してから、次の幸せを求めるような感じ。伝わるかな?」

「んと・・・」

小指を捕まえたまま、薬指にも指を絡め、撫で続ける


「時間をかけて、ゆっくり、じわじわと、相手が受け入れてくれる範囲を広げていくの」

「あっ・・」

「普通じゃないのは分かってるの。それでも分かって欲しいの。時間を掛けて分かってもらうしかないよね」

「ちょっ・・」

薬指と中指の間へ指を這わせ、中指も絡めとる


「指先から手のひら、手首。だんだん私が触れても拒まれない範囲をひろげていくの。腕、肩、首筋、耳元、頬、唇へ。拒否されたらそれより先には進めないよ」

「か、加奈さん・・?」

そう言いながら小指から人差し指まで、指先で一本づつ撫であげていく。


「この前も触れさせてくれたから、指はもう私が触れても抵抗ない?」

「えと・・その・・」

「じゃあ手首に触れるのは許してくれる?」

志穂ちゃんの左の手のひらの真ん中に、私の親指を軽く押し付けながら、他の四本の指で手首を外側から包む。

「嫌じゃないなら、志穂ちゃんも私の親指を捕まえて?」

「加奈さ・・ん・・」

彼女の指が軽く握られ、私の親指に触れてくれる。

「ありがとう。すごく嬉しい」

彼女の手を引き寄せ、親指で手のひらをすりすり撫でる。引き寄せた手の甲に頬擦りする。

「うそ・・こんなの・・拒める訳ない」

驚き戸惑う志穂ちゃんの反応、今日も可愛いな。




「あ、あははは。こんな感じでどうかな、答えになった?」

「・・えっ」

「私がどうするか、知りたかったんでしょ?こんな感じで納得してくれたかな?」

「納得というか、攻略されかけました」

「自分の気持ちを抑えず伝える。相手が受け入れてくれるのを待つ。受け入れられた時は嬉しいと伝える。この前も似たような事を言ったけどね」

「私の場合は、要求が直接的でしたね。恥ずかしいです」

「先に志穂ちゃんの話聞いてたから、後出しジャンケンみたいなもんだよ。色々やりようは思い付くよ」


「その・・またですか?」

「またって?」

「加奈さん、こっちがその気になるまで盛り上げて急に切り上げるの、怒りますよ?」

「ごめん・・ってか、志穂ちゃん今、その気って」

「彼氏で上書きしたつもりだったのに、また加奈さんに塗りつぶされちゃった」

「なんか、ごめん」

「うー・・謝っちゃうんですか?」

「もう一度彼氏に塗り直してもらって」

「今週は彼に用があるので会えないんですよ」

「ありゃ・・悪いことしちゃった」

「どうにかしてくださいよぉ」

いや、コレはどうにかしちゃダメでしょ


「今だけだって。酔いが覚めたら大丈夫だから」

「んー・・酔いが覚めても治らなかったら本物なんですね?」

論点がずれた


「もうそれでいいや。だからその時に仕切り直そうよ」

「分かりました。仕切り直しで金曜の夜も付き合ってくださいね」

「ふむ・・金曜は志穂ちゃんちでお泊まりか」

「お泊まり・・」

「まぁ金曜当日でも予定はキャンセルして構わないからね」

「あ、はい」

「でもキャンセルしないなら、覚悟しといて」

「覚悟・・」

「誘ったのは志穂ちゃんだからね?スッキリするまで止めないんだから」

「あ・・はい・・♪」

志穂ちゃん、何をうっとりしてるんだい?







・・・コレ、お酒で覚えてないって話にできないかなぁ。

キャンセル入らないと、覚悟を決めるのはこっちになりそうです。













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