第17話 寝耳に水な話

休日の過ごし方、主にどんなソロ活動にするかを考えて準備していた土曜の朝、スマホに着信。母からでした。


「こんな時間に母さんから電話なんて珍しいね。どうしたの」

『突然だけど、加奈、お見合いしない?』

「へ・・?何て?」

『だからお見合いだって。お・み・あ・い』

「私が?」

『そう、加奈が』

「なんで?!」

さすがに突然すぎる。


『浮いた話も聞かないまま、あなたも四捨五入したら30よ?仲の良かったお友達もみんな結婚しているでしょ?』

「みんな結婚しちゃったわけじゃないよ」

『あんた、みんなを見送って最後の一人になりたいの?』

「いや、そんな極端な事言わなくてもいいじゃない」

『加奈、今の職場とか周囲の環境で結婚したいと思う人がいるの?』

「そういう人は・・特に」

目下と所、課長のモノを元気にシテみたいとは思うけど実現はしていない。


『加奈に好きな人がいるなら母さん何も言わない。でも、そういう相手がいないならお見合いしてみなさいな。』

「まぁ母さんがオススメしてくるのは分からなくないけど」

うちの両親はお見合い結婚なのだ。


『相手に彼女が居るのかとか心配しなくても、最初から結婚相手探してる人と出会えるんだから楽よ?』

「急な話でそんな簡単に割り切れないよ」

『とりあえず週明けに返事頂戴。あなたがOKなら、次の週末に逢えるようにするから』

「ちょっ・・どんな相手が来るかも聞かずに決められないって!」

『相手はもうすぐ三十歳になる会社員。一応あんたと同じ高校の先輩』

「もう相手決まってたの?!」

『あっちも歳が歳だから、いつ結婚するんだって言われてるみたいね』

「大台ってのは分かるけど、その人も好みとかあるんじゃない?私が相手っていいの?」

『加奈がお見合いしてみたいなら是非お願いしたいって。向こうからのご指名なのよ。』

「はぁ?!私の事知ってる人?誰なの?」

『・・あんまりバラすと会った時つまらないじゃない、私がw』

「教える気ないの?!」

『どんな人なのかは母さん知ってるから。悪い話じゃないと思うわよw』

「さっきから笑ってんじゃん!!」

『とにかく、あんたと結婚するとこを考えてくれてる人がいるの。会ってみるか少し考えてあげて』

「ぬぅ・・」

『じゃあね。返事まってるから』

切られた・・・



お見合いってこんな急なの?

何をどう考えて返事するべきなの?


私、結婚したい?

どんな旦那がいい?

どんな家族になりたい?

これからどんな人と生涯を共にしたい?


真面目に考えたこと無かったですね・・。


考えたからって、思ったようになれるの?

理想通りなんてなれないよね?

でもそんなのをひっくるめて何とかやっていくのかな?

それが夫婦、なのかな。

うちの両親、なんだかんだで仲いいし。




こんなこと考えてたら、エロいことする気が薄れてしまったじゃないか。手元で待機してるローション付きディルド君、どうしよう。



しかし、相手は誰なんでしょう?

同じ高校って言ってたけど、五歳年上って事は一緒に学校通ってたんじゃないはず。それなのに私を知ってる人ってどんな人だろう?


母さんの職場の知り合いかな?何かの拍子でその人と娘が同じ高校だったと知ったとか。

もしそうなら母さんが言い出したのかな?私が売れ残らないように売り込んだのか?そういう事ならなんとなく辻褄が合う気がする。

あの親ならあり得なくもない。割と親バカな所もあるし、余計な事を勝手に話してる可能性すらゼロじゃない。

ヤバイ、会った時にめちゃくちゃがっかりされる気がする。


私がワタシをお勧めできるポイントは?

学歴もない、仕事も普通、スタイルも顔もコレといって・・・



『なんと言ってもナカが極上だ』

隣のおじさん、久々に出てきた。


エッチする時だけお勧めポイントがあるってダメでしょ。

いや、大事なポイントかもしれないけど、そこへ至る部分が無いのはやっぱりダメだよね。



・・でもとりあえずエッチしちゃえばいい?

会ったこともない見合い相手と、早期にエッチするには?どうすればできる?



『初めまして、見合い相手です』

「初めまして、加奈です」

『今日は宜しくお願いします』

「こちらこそ宜しくお願いいたします」

『えっと・・その、ご趣味は?』

「最近は・・筋トレを少々」

『えっ・・?』


ダメだ。そもそも会話のレベルを上げないといけない。


んー・・とりあえずエッチにたどり着くまでは割愛してエッチにしよう。

何故ってディルド君のローションが垂れてしまうから。入れてから考えます。



ニュルリ んっ・・



『か、加奈さん、すごい気持ちいいよ』

「それじゃぁもっと気持ち良くしてあげますね」

ギュギュッ

『え・・、すごい、こんなのどこで』

「ふふっ、天国につれてってあげます」



ま、アウトですね。おじさんからの教訓を生かしましょう。


『か、加奈さん、すごい気持ちいいよ』

「あっ・・私も・・です」

『そうなの?』

「恥ずかしい・・けど、気持ちいい」

『良かった。一緒に気持ち良くなろうね』

「あっ・・何コレ・・こんなの初めて」



わざとらしい?言ってて自分でも恥ずかしいし、逆に言わされてみたいです。

意外とそんな自分を演出しながらディルド君を動かしてると、いつもより感じやすく敏感になった気がします。


『うっ・・加奈さん・・』

「こんなっ、しらないっ、すっすごいっ、あんっ」

『もう・・イクよ・・』

「わたしっ、もうっ、だめっ・・ああ!」

『くっ・・!』

「あぁぁぁぁぁ!!」





感想。素直に気持ち良かった。


恥じらいながらするの、良いですね。初めて気持ち良くなれた時の感動も甦り、ちょっと癖になりそうです。


ま、結局エッチするまでの過程が抜けてるので恐らく無駄なんだけど、万が一の機会が訪れたらこれで行こうと思いました。


はてさて。

改めてお見合い、どうしよう?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る