第13話 同窓会の話

お盆休みに高校の同窓会がありました。

私は地元を離れており、仕事が年中無休の職場だったのでこれまでそういうのには参加した事がありませんでしが、仲の良かった友達から連絡をもらい、久しぶりに会いたいといわれ、たまにはいいかと参加する事にしました。



「加奈ぁ、久しぶりぃ」

「ホントに久しぶりだね、ゆーちゃんも元気してた?」

「元気元気。3年振りだっけ。加奈、なんか痩せたんじゃない?」

「最近筋トレというか運動してんの。ゆーちゃんは相変わらずスタイルいいねぇ」

友達の名前は優子。高校の同級生だ。


「お、加奈ちゃんだ。久々だけど俺、誰だかわかる?」

「高橋君だよね?違ってたらごめん」

「当たり。覚えてくれてて良かったよ」

「髪色違うけど、他があんまり変わってないから分かるよ」

彼は高橋君。同じ部活で部長をやってた同級生だ。


「優子と加奈ちゃん、相変わらず仲いいんだ」

「んー、でも会ったのは久しぶりだよ」

「加奈は就職決めてすぐ遠く行っちゃうし、さみしかったよぉ」

「高橋君がいればゆーちゃんはさみしくないんじゃいの?」

「あれ、加奈ちゃん俺らの事聞いてるの?」

「聞いたよ。結婚するんでしょ?おめでとー」

「ありがとう。今度10月に式挙げるんだ」

「加奈も呼ぶから、ちゃんときてねぇ」

「わかったわかった。結婚式で色々暴露してあげようか?」

「ちょっ・・何を言うつもりだよ!」

「冗談だってば。幸せになってね」

この二人は高校の時に付き合い始め、もうすぐ結婚する。


「よ、よう。久しぶり」

「佐藤じゃん!久しぶり!」

「佐藤君だぁ、卒業式以来だね」

「よっ、元気してた?」

「懐かしい顔が並んでるなって思ってさ」

「まぁ・・そうだね」

「佐藤も今は地元離れてんだっけ?」

「仕事の都合で転勤してんだ。今は隣の県にいる」

「そっかぁ。でも今日は来れて良かったねぇ。加奈もいるし。」

「な、な、何でそうなるんだよ」

「だって佐藤は・・あっと・・」

「妙な気を回さないでいいよ。久しぶりだね」

「お、おう」

後から来たのはお調子者の佐藤。コイツも同じ部活だった。



この面子が揃ってしまったか・・・。ほんの数年前なのに懐かしい。

ちなみに加奈は私の名前です。



私たちは高校で同じ吹奏楽部に入っていた。

7年前、夏のコンクールで金賞取れるようにみんな頑張って練習してたけど、金賞は取れなかった。

三年生は引退。残念会をやろうという事で高橋君の家に集まり打ち上げをした。


ゆーちゃんは高橋君の事が好きだったし、多分高橋君もゆーちゃんを気にしてた。


私は佐藤と計画して、打ち上げの時にゆーちゃんと高橋君が二人っきりになれるようにお膳立てをした。



私と佐藤が二人で野球のゲームで対戦してると、後ろで見ていた高橋君がゆーちゃんを連れて消えた。


告白すんのかな?とか小声で話してたら、覗きに行こうって佐藤が言い出した。


高橋君の家は昔ながらの日本家屋で、襖で仕切られた隣から様子をうかがう事ができた。



ずっと好きだった。付き合って欲しいと高橋君が言った。


私もずっと好きでした。宜しくお願いします。とゆーちゃんが言った。



襖のこっち側で、佐藤と私はニヤニヤしながらガッツポーズしてた。親友の恋が成就する瞬間を拝めるとは。



「ちゅっ・・ちゅっ・・」


うわっ、高橋君とゆーちゃん、くっついてチューしてる。

思わずガン見する私と佐藤。



「んっ・・あっ・・」


マジ?!高橋君がゆーちゃんの胸揉んでる!

固唾をのんで見守る私と佐藤。



「高橋君・・していいよ・・」


服を脱ぎ始めるゆーちゃん。遅れて脱ぎ始める高橋君。

布団に倒れこむ二人。キスしながら重なり合う。

固まる私と佐藤。



「高橋君・・キテ・・・・んあっ!」


入った?!入れちゃった?!親友がセックスしてる!どーすんだこの状況?!



「んっ・・んっんっ・・んっあっあっ」


リズミカルに漏れる声。見ていたいけど見ちゃいけないって思う。


いつ撤収するか悩んで佐藤を見たら・・・佐藤は私を見てた。



「ごめん・・我慢できねぇ・・」


固まってる私に、小声でそう言ってキスしてきた。


畳に押し倒し、胸を触ってきた。


ジャージの中に手を入れてきて、アソコを触ってきた。



「あんっ!・・あんっ!・・高橋君!・・」


声を殺している様子もなく、ゆーちゃんの声が聞こえてくる。


「・・!・・!!・・」


その隣の部屋で、私は必死に声を殺していた。


親友の大切な時間を邪魔しちゃいけないと思いながら、私は雰囲気に流され、性欲を向けてくる佐藤を受け入れた。


正直痛い、異物が入ってる感じだけ。恥ずかしいけど気持ちいいとは思わなかった。



なんでゆーちゃんは気持ちよさそうなんだろう。


好きな人とすると気持ちいいのかな。


私も気持ちよくしたかったな。





ってか佐藤、そんなに勢いよくペチペチしたら音を聞かれるじゃんか。


あれ・・ゆーちゃんの声がしない・・?終わった?


ギュっと閉じていた目をあける。



佐藤が私の両足を抱えて腰を振っている。



襖が開いていて、高橋君とゆーちゃんがこっち見てる?!



「やべ!出る!!」


引き抜かれた佐藤のモノから私の胸やおなかに精液が飛ぶ。


「加奈・・すごい・・」


「あ!・・これは!その!!」


「佐藤、加奈ちゃん・・悪い、邪魔した」



シャツだけの半裸姿なゆーちゃん。下だけ履いてる高橋君。半歩下がった位置ではぁはぁ言ってる佐藤。精液まみれにされてる私。なんなんだこの状況。



「・・大丈夫?」

ゆーちゃんがティッシュ持ってきて、私の身体についた精液をふき取ってくれる。


「うん・・大丈夫だよ」

正直大丈夫じゃないんだろうけど、これしか返せない。



「その・・二人っきりにしてくれたんだよね。」


「まぁその、ゆーちゃん上手く行ったんなら良かったね。」


「・・うん。ありがとぉ。加奈も?」


「へ?いやその私は・・・」


「だって加奈は佐藤君の事好きなんでしょ?」


「はぁ?!なんでそうなるの」


「え・・違うの?仲いいし、佐藤君は加奈の事好きだって言ってたから・・」


「・・まじ?」



そう。実は二重に仕組まれていたのだ。


私はゆーちゃんが高橋君の事を好きだと知っていて、佐藤は高橋君がゆーちゃんの事を好きだと知っていた。そんな私たちが、高橋&ゆーちゃんをくっつけよう作戦を実行したのだが。


その裏で高橋君もゆーちゃんも、佐藤が私の事を好きだと知っていて二人っきりにしたのだった。


その結果、恋愛模様を見事にすっ飛ばし性欲に走られた訳ですが。



「すまん・・俺、前からお前の事好きで。もうしちゃったし付き合ってるで・・いいか?」


「黙れ。告白もせずに押し倒しておいて、ヤッたからって彼氏面すんな!全然気持ちよくないんだよ、ヘタクソ!」

今にして思えば佐藤の心をえぐったと思います。


高校最後の、そして人生最初の思い出。





かくして一組のカップルが成立し、めでたくゴールインするんだから、まるっきり悪い事ばかりじゃないんだけど、どうしても失敗談みたいな感じで思い出してしまいます。



しばらく飲み食いしてると、佐藤が寄ってきた。


「佐藤、さっき振りだね。その後は・・上達したのかな?」


「ぐっ・・あの時は悪かったと思ってるよ」


「まぁ私の中でも昔の話って事で決着つけてるから、もう気にしないでね」


「そっか・・。一応あれから精進したから、今なら大丈夫だと思うぜ?」


「何それ・・誘ってるの?」


「いや、今は嫁さんいるしちゃんと満足させられてる・・と思う」


「まったく、最後までちゃんと自信もって言いなさいよ。情けないなぁ」


「お前以外になら言えるんだけどな・・ははは」


「さすがにそこまで傷跡残すつもりはなかったんだけどね。ごめんよ。」



「・・もし、俺が結婚してなかったら、リベンジ付き合ってくれたか?」


「そんな仮定の話はムダね。もっかいヘタクソって言われたいなら考えてあげる」


「いや、マジで勘弁してくれ。立ち直れなくなる。」


「奥さんを心配させるような事言わないの。お幸せにね」


「へいへい。わかったよ」






ロクな出来事じゃないと思っていた事も、時間が経てば思い出のひとつ。


あの頃、一緒に青春していたみんなは、それぞれ今の幸せを掴んでいる。


見栄っ張りな自分が、ちょっと切なくなりました。






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