第10話 腰にきた話

微妙な結果になった筋トレを終えての夕食後、風呂上り。


例によってベッドの上で壁に寄りかかり、まったりとスマホをいじっていると、背後というか壁の向こうで物音がした気がしました。

ちょいとカーテンの間から窓の外を見ると、おじさんの車がある。いつの間にか帰ってきてたらしい。


最後に挨拶しておくべき?まぁ、それなりに一段落したような別れ方したし、このまま静かにしておくべきか。


現状ではそれが一番いいんだろうな。


明日には居なくなるんだし。



普通の隣人って関係はぶち壊してしまったけれど。





ソロ活動でシテるのは好きだけど、サレるのも悪くなかったなぁ。



悪くないというより、正直良かったんだけども。


見られる事の恥ずかしさとか、求められる事の嬉しさとか。


どうせならもっと前から・・・って考えても意味ないよね。


そんな人も居たなって、いつか思い出したりする日がくるかもね。






・・・何をうだうだ考えてるんだろ。


すっかり忘れて・・いつか、たまにふっと思い出したりする程度になるはず。

あと半日もすれば、もう二度と会うことはないんだから、あとちょっと我慢すればいいんだよ。








何を我慢?


つい先日まで無関係だった隣人で、昨日は秘密の共有をした人で、明日以降は会わなくなる人。その人との関係がこのまま終わるだけだよね。元々親しかった訳でもないし。

微妙な温度差はあるかもしれないけど、昨日の事はお互い合意の上、一度きりの関係。








一度きりなんて言ったっけ?





何考えてんだ、私は・・・


私はあと少しの時間でも、またシタい、シテ欲しい、と思ってる訳ですね・・・

我ながらどんだけ性欲強いんだと思ってしまいます。昼間のソロ活動が不完全燃焼だったからかな?

まぁ、おじさんに改めて声を掛ける理由もないし。


・・そういや、最後のゴミ出し引き受けたんだったな。







いやいや、ダメでしょ。ゴミ出しの件は忘れてた事にしちゃっても問題ないはず。これ以上、私から踏み込んじゃダメだ。








おじさんから踏み込んで来たら?


拒否できる?



(カラカラカラ)

私の葛藤を知ってか知らずか、おそらく隣の部屋の窓が開いたような音がする。多分タバコだろう。

今、私も窓を開ければおじさんと顔を会わせるかもしれない。




どうする?


また勘違いかも知れない。


・・・顔だしてみよっか。


いなかったらそれまでだし。



居たらどうする?


そこから後はおじさん次第、あちらがどうするかでいいかな?


何もなくても、それでおしまいにしよう。


よし、窓開けてみよう。





私は窓を開け、ひょいと顔を出す。そこに漂ってくるハイライトの匂い。


『あ・・こんばんは』

「ども・・」

居た


『えっと・・・ちょっと喋っていいかな?』

「・・その、ゴミ出し引き受けたのどうしようかって思い出しちゃって」

自分から話振ってしまった。


『え、そうだったっけ。気にしなくてもいいのに』

「一応・・やるって約束しましたから」

『そかそか。わざわざありがとう』

「いえいえ」



『フフッ、なんか不思議だ』

「何がですか?」

『勝手に願掛けしてたんだよ』

「願掛け・・星に願いでも掛けてたんですか?」

『まぁ、それに近いかな』

「ほほぅ」


『もしかしたら、タバコ吸ってると君と会えるんじゃないかってね』

「?!」


『会えなければそれでおしまい。そうしようって思ってた』

「・・・」


『でも、もし会えたら何話せば良いとか考えちゃって、勝手に緊張してた』

『いざ顔会わせたら割と普通に話せて、何やってたんだろってね』

「あー・・なんか分かる気がします」


『なんだかなぁ、だよね』

「なんだかなぁ、ですね」




『その、さっきのゴミ出しのことだけど』

「はい、どうしますか?」


『ダメなら断ってくれて構わないんだけど』

「ゴミ出ししますよ?」


『・・その、ゴミ出しについて、これからウチで相談しないか』

「!!」







『・・やっぱ止めと「伺います」


『・・わ、わかった。待ってる』

「・・はい」


そっと窓を閉め、カーテンを閉じる。

いそいそと着替え、ささっと髪を整え、姿見の前に立つ。誘われた事、肉欲への期待で顔が赤い。



隣の部屋の前に立ち、ノックする。

ドアが開き、招き入れられる。

部屋に入り、扉を閉め、鍵を掛ける。

向かい合い、抱き締められ、キスをする。


そこからは時間の許す限りお互いを求めあいました。

布団にたどり着くまでにほとんど脱がされ、クリを弄られてイカされ、膝をついておじさんのモノを舐め、買ってしまったというゴムを着けて繋がりました。

正常位で、対面座位で、騎乗位で、寝バックで、背後位で、側位で、エナジードリンクを補給しながら、お互いに遠慮なく、してみたい事をヤリまくりイキまくりました。


ゴムの在庫が半分になった朝の六時。おじさんのスマホから目覚ましコールが鳴った。

アラームを止め、お互い見つめあい、クスッと微笑みあう。


『徹夜したけど大丈夫?』

「大丈夫。なんか満足感のほうが勝ってると思います」

『そっか、そりゃ良かった』

「まだ足りないですか?」

『いやいや、すでに限界越えてるから』

「スミマセン・・ありがとうございます」



その後、身支度を整えてから約束のゴミ袋も抱えて部屋を出る。玄関で別れの挨拶。ありがとう。さようなら。お元気で。

自分の部屋に戻ってきてから少しすると車のエンジン音がして、おじさんの車が出ていきました。このくらいスパッと去ってくれるほうがスッキリするものかも知れませんね。どうか安全運転で。




感想。満腹、というか食べ過ぎ。

他にやりようがあったかも知れないけど、私としてはこういう結末も良かったと思いました。


そういえば、エロさを控えないと男性が自信を持てなくなるって件を忘れてた事に気付きましたが、また改めて考えようと思います。


私も仕事行かなきゃならないので、サッとシャワー浴び、髪を乾かし、制服に着替えます。

玄関に行くと、お隣から連れてきた大量のティッシュが入ったゴミ袋。事後感が凄いとか思ってたらいきなり腰砕けてヘタリ込んじゃいました。

さすがに夜通しはヤリすぎでしたね。なんとか気合いで立ち上がりつつ、もし次の機会があったら自重しようと思いました。









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