第6話 仕事の引継ぎ
在籍する国内営業部には、女性事務員が4人いた。
年齢も個性も豊かな人揃い。
社内結婚をしたばかりの鶴橋さん。
しっかり者の頼れるお姉さんタイプの黒田さん。
社内でも目立つ雰囲気で派手な印象の川本さん。
そして私。
どうやら、退職される鶴橋さんの交代要員として配属されたらしい。
ベテランの鶴橋さんが抱えていた仕事を、そのまま新人の私にシフトされてくるわけではなくて、黒田さんと川本さんにも幾つか引き継ぎされた。
「これが、椎名さんが担当する得意先ね」
そう言われて渡されたのは、各営業マンが担当している、得意先社名の一覧表。
そこに書かれている社名は、ついこの間まで高校生だった私でも知っている大手ばかり。
社名の横に、その社を担当する事務員の名前が書いてある。
ペラペラと紙を捲り、井沢さんの名前を見つけた。
少し緩んだ頬のまま、一覧表を目で追っていって気付いた。
幾つかの社名の横に、私の名前が!
(……井沢さんの取引先、私も担当出来るの!?)
井沢さんが抱える得意先は、殆どが黒田さんだったけど、よく見れば私の名前も載っていた。
気になる彼の得意先ということもあり、ついつい、他の営業マンのページよりもじっくりと見てしまう。
それにしても、新人の私に任される仕事は、思いの他多かった。
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