第5話 聖メリア女学院生徒会
「……はっ?」
「そんなに嫌だったの……」
悲しそうな、捨てられたられた子犬のような声を出してきた。なぜだか罪悪感を感じる。
「いやと言うか、ボク男の子……」
「別にいいじゃない。それくらい」
「そ、それくらいって……」
だいぶヤバいこと言ってる。え、妹って女の子のことを指すんじゃ……
と言うか、何でボク?
本当に理解が出来ない。
「そもそもなんでボクなんですか?」
「……実はね、生徒会長になったのにエスがいないのはおかしいってよく言われるのよ。それでね、音楽室でピアノを弾いといて、最初に入った人をエスにするって決めていたのよ。」
「じゃあ別にボクじゃなくても……」
一番最初に入って来た人をエスにするって決めているってことは別にボクじゃなくてもいいはずだ。それならボクじゃない方が良い。ボクは役不足だ。
「えぇ~私はね、最初に入って来た人をエスにするって決めていた。そしてあなたは別のお姉様はいない。そうつまりこれは運命なのよ。」
「運命……」
「そう。私たちは義理姉妹になる様にきっと神様が導いてくださったのよ。」
神様か……運命として受け入れることは出来ない。そう、これは確固たる意志だ。ボクは絶対にこの学校で女の子と付き合わない。それは他のいかなる関係性も一緒だ。ボクは一歩引いたところから、そっと鮮やかな花々を眺めていればいいのだ。そうすればきっと……
「ね、と言うわけで取りあえずここから生徒会室に行きましょう。」
「……え?」
「一緒に紅茶でも飲みましょうよ、そこで話をしましょう。」
するとさっさとピアノ椅子から立ち上がると、歩き出した。
ボクもそそくさと付いていった。赤城会長は優雅に一歩一歩、己のスピードで上品に歩いて行った。スカートは少しも翻らず、まっすぐの背筋を保ったまま廊下を歩いていた。
「赤城会長ごきげんよう!」
「赤城会長ごきげんよう!」
「赤城会長ごきげんよう!」
「ええ、ごきげんよう。」
廊下を歩いていると会長は出会った人たちから挨拶されていた。廊下のど真ん中を歩く赤城会長に対して、スカートの両端を軽くつかんで頭を下げながら、スカートを挙げていた。
やっぱりこういう風に見ていると、目の前にいる少女、赤城聖愛という女神みたいに美しい女の子はただならぬ特別な存在なのだと認識する。そしてそれと同時にやっぱりボクは赤城会長のエスには相応しくないのだ、おごり高ぶるな。と、自分自身を戒める。
「ああ、赤城さん。昨日はありがとうな。あんな大量にプリント、あったのに全部持って行ってくれて、大変だったんじゃいか?」
「いえいえ、別に造作のない事ですよ。夕夏や、あやねも手伝ってくれましたから。」
廊下ですれ違ったダンディーな先生と赤城会長が談笑している。どうやら話を聞いている感じだと、赤城会長が大量のプリントを移動させてくれたらしい。教師陣にも好かれているなんて、やっぱり赤城会長はすごい人だ。
「悪かったな。今度クッキーでも焼くよ。」
「ええ、今度紅茶を入れときますわね。」
「そうかそうか。今度また生徒会室にお邪魔するよ。おや、この子は?」
「ああ、私の
「おお、エスか……え!?」
「あ、赤城会長!冗談はよしてください。」
ちょっと……ボクのことが勝手にエスだとして紹介されている!変な誤解をされたら溜ったものじゃない。先生だって、驚いて腰を抜かしそうになっている。見た目的に50代っぽいから、絶対健康に悪いに決まってる。
「あら、まだあなたがOKしてくれないだけで、私的にはもう義妹にしたいわよ。」
「だとしても……取りあえず生徒会室行きましょうか……」
「ええ、そうね。」
「……また今度よろしく?」
先生も変な感じになっている。赤城会長ってこんなにも積極的な人だったんだ……以外だ。
ちょっと奥のところに木造の古そうだけど重厚な扉があった。表札に生徒会室と書いているから、ここが赤城会長の職場なのだろう。赤城会長が扉に手を伸ばすとゆっくりと開いた。
「夕夏ちゃん、あやねちゃんごきげんよう。」
「聖愛、ごきげんよう」
「せ、い、あ、ちゃ~ん。ごきげんよう。」
ドアを開けると、赤城会長が抱きしめられた。
女の子の声とは思えない気持ち悪い言い方の声で赤城会長を読んだその女は強く抱きしめると右手で赤城会長の肩からお尻までを撫でおろした。
「あら、夕夏ちゃん。今日は結構優しいのね。」
「あれ、聖愛。この男の子、だぁれ?聖愛が連れてきたのかしら?」
「ああ、この子は私のエスよ。」
「はぁ?」
「え、聖愛、ついにエスを決めたの?」
やっぱりこの人達も驚いている。やっぱりそれだけ異常だということだろうか。
「説明し忘れてたわね。この子は
「僕の説明ひどくない?優しい先輩だよ、僕は。それに僕は柔らかい体の女の子が好きだからね~」
さっき、赤城会長をハグしていた少しふわふわとした髪型の少女を指していた。
「そしてこの子が
「それは君の方が当てはまるだろ。私よりも君の方がファンは多いだろうからね。」
「さあ、どうなのかしら?」
耳に付けていたイヤフォンを外した女の子は可愛いよりもカッコいいが似合う子だった。
「これが聖メリア女学院生徒会の全員よ。」
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