第4話




(………眼鏡屋?)


 町に突入して石畳の道を駆け走ること、十分。

 店の壁の下の三分の一が石張りで、上の三分の二が硝子張りの眼鏡屋にて。

 素早く銀の長髪を頭の上部でお団子に纏めては、常備している紅のハンチング帽を被って目元と髪の毛を隠していた兄は弟を発見、眼鏡屋の向かい側にある移動式図書館にて、弟の様子を窺うことにしたのであった。


(しかし、弟は視力は悪くなかったはず。もしや私が知らぬ間に視力を悪くさせたのか。っは。お洒落眼鏡というやつか。来年は成人になるのだ。外見を整えようとしてもおかしくはない、上に、何でも似合う弟のことだ。店の眼鏡を全部買い上げることは容易に予想できる。っく。金は。金は足りるのだろうか。私が行っ。いやいやいや。出がけの決意を忘れたのか、私!どんな困難も危険も手助けはせずに見守ろうと決めた。が)




 私だと気づかれなければ。

 いいのでは。

 ない、だろう、か。











(2023.8.1)



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