第32話
まえがき
前話の一部文章を修正、加筆しました。また『ファッショナブルステージ』に関するエーシスの説明を加筆修正しました。
「自分ステージゾーンに存在するキャラのステータスが変動したことにより~」
↓
「自分ステージゾーンに存在するファッショナブル・ルーキーと名の付くキャラのステータスが変動したことにより~」
元の説明のままだと強すぎますね……。
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『フツマの設定を開示……儂はデッキから『仙人』と名の付いたシチュエーションカードを一枚、手札に加えることができる』
そうしてデッキから一枚のカードがデュエル仙人の目の前に行き、そして僕たちが見えるようにカードが反転する。
『シチュエーションカード『仙人術 - 千里を見通す仙眼』をシーン展開……相手の手札もしくはシチュエーションゾーンに存在するカードを選択し、カード名を宣言する! そして選択したカードが宣言したカード名と同名だった場合、そのカードを没ゾーンに送る……!』
「えぇ!?」
「カード名を宣言だと!?」
「カードの種類がいったいどれだけあると思っているンゴ……?」
「いや……」
僕だったらそれを汎用カードの絞り込みに使用すると思う。使われたら嫌な汎用カード名を宣言し、それが不正解ならそれで今後の動きも決められるからだ。
だけど。
『我が仙人術にそのような小細工は不要の助……』
「なにを――」
『デュエル仙人となった儂の体には仙術が宿る……見よ、これぞ我が仙術・千里眼の力を……!』
その時、デュエル仙人の眼が大きく見開かれる!
『選択するのはお前が立てたフラグカード……そのカードは『見過ごされる弱者』である』
「っ!!?」
デュエル仙人の宣言を聞いた瞬間、エーシスの驚愕する。そして先ほどのターンでエーシスが立てたフラグカードが勝手に浮かび上がる。
そして出てきたカードは――!
「私の『見過ごされる弱者』が!?」
「カード名が当たった!?」
相手のバトルフェイズを強制終了させるフラグカード『見過ごされる弱者』がエーシスの没ゾーンに送られた。
「どうして私が立てたフラグカードのことを!?」
『これぞ我が仙術の力……『千里眼』』
:千里眼!?
:もしかしてカードを当てれるってこと!?
:ジャッジー! 審判の方のジャッジー!!
「もしかしてそれがお爺ちゃんの決闘者スキルなんじゃ……!?」
『否、これこそがデュエル仙人として覚醒した我が仙術の力……! 儂の眼に見通せないカードはない!』
「ズルしてるよこの人!」
『ズルではない!』
:ズルだよそれは!
:これスキルじゃねーのかよwww
:でもデュエル中のジョブは強制決闘者だぞ
:他のスキルは使えないはずだよね
:え、じゃあリアル……?
:流石にプレイヤースキルによる仙術は草
:頂点プレイヤーはこれだから!
やっぱり頂点プレイヤーと呼ばれるだけはある変態さだ! なんで頂点プレイヤーはどいつもこいつもこんな規格外だらけなのさ!
『『仙人術 - 千里を見通す仙眼』の設定によるカード名宣言が正解し、相手のカードが没ゾーンに置かれた場合このカードをデッキに戻し、シャッフルする』
「次のターン、フツマの設定でまた呼び戻すことができるってことね……!」
『この程度のことは分かるようじゃな』
「バッカにしてくれちゃってー……!」
デュエル仙人が使う仙術がどこまで本当かは分からないけど、毎ターンその方法で伏せられたカードを没ゾーン送りにできるなら、これほど手強い相手はいないぞ。
しかもジャンルカード『仙人界山』の設定で、エーシスは相手が開示するシチュエーションカードの設定を無効にすることができないという布陣だ!
『恨むなら自分のターンで儂を仕留めきれなかった自分を恨め……続けて儂はシチュエーションカード『仕切り直しの儀式』をシーン展開。自身の今ある手札を全て捨て、五枚となるようにデッキからカードをドローする』
「だけどそのカードは私も対象に入ってる! 私も今ある手札を捨てて五枚ドローをするよ!」
これで両者の手札はこれで五枚!
だけどそこでエーシスの捨てたカードの設定が開示される!
「捨てたのはシチュエーションカード『ボロからの再生』! このカードが捨てられた時、使用済みゾーンから設定を開示することができる! このカードによって私は更に2ドローすることができるよ!」
これで計七枚の手札だ。エーシスのハンドアドバンテージがデュエル仙人より上になった!
『だが、儂はそれを読んでおったわい』
「え……」
『『仕切り直しの儀式』によって捨てられたカードの設定を開示……『108煩悩 - ジッタイケンシュケン』』
「げぇっ! 煩悩!」
『即ち、自分が最も優れていると思う心……相手の手札が自分の手札を上回っていた場合、相手の手札を全て使用済みゾーンに送る』
『っ!?』
その瞬間、エーシスの手札が全て使用済みゾーンに行った!?
「な、え……?」
『言ったであろう、儂の千里眼はカードを見通すと……お前がどのようなカードを持っていたのか、そしてその後どのような行動するのか全て予測済みじゃ』
:だからインチキだってそれぇ!
:なんで見通せるんですか……
:手の内の全てが分かるならどうすればいいんだよこれ……
『儂はシチュエーションカード『仙人術 - 魔を祓う仙口』をシーン展開。相手のキャラを指定し、出目を宣言する。そしてダイスを振り、宣言した出目と同じ出目なら指定した相手のキャラを使用済みゾーンに送る』
「またそんな運要素のカードを……!」
でもまさか、デュエル仙人はそれすらも――?
『儂の口は未来を確定する……即ち、言霊の仙術』
対象はMISORA。
そしてダイスのホログラムが両者の間を回転する。
『4の出目を宣言する……そして出目は当然――』
――……4。
『MISORAを使用済みゾーンへと送る……!』
『きゃああああ!?』
「MISORAちゃんっ!!」
MISORAがいなくなったことで場に残っているのは全ステ5に戻ったファッショナブル・デザイナーのタクトだけだ……!
『『仙人術 - 魔を祓う仙口』によるキャラ破壊が成功した時、このカードは使用済みゾーンではなくデッキに戻り、デッキをシャッフルする』
「きったねぇだけになんてきったねぇジジイだ……!」
「仙人術カードの設定を成功させ、そのカードをデッキに戻してリサイクル……こんなの、インチキみたいな仙術があるからこそ成立する戦法じゃないか!」
「これが頂点プレイヤーンゴ……!?」
初見で相手をするにはこれほど理不尽な存在はいない。どうする、エーシス!?
『フラグカードを一枚立て、フツマを対象にシチュエーションカード『仙人術 - 苦難を砕く仙掌』をシーン展開。相手とのじゃんけんに勝利した場合、対象にしたキャラの攻撃回数を二回にする』
今度はじゃんけん!?
:これがデュエルだというのか……?
:名前当てに出目予想、次はじゃんけん
:なんでもありかよこの仙人!
『儂の掌は全てを転がす……即ち、釈迦如来掌の化身』
「最初は、グー……!」
『じゃんけん――』
――ぽんッッッ!!
「結果は!?」
エーシスはグー。
そしてデュエル仙人の手は――。
「パー……?」
『これでフツマの攻撃は二回行われる……! バトルフェイズじゃ!』
フツマがタクトに対して掌を向ける!
『タクトを破壊!』
『きゃああああ!?』
「タクトさぁあああん!!」
エーシス。
MP40 → 25。
「ぐぅっ……! 私はハプニングデッキからカードをドロー!」
『当ててやろう……そのハプニングカードは『消えるアイデア帳』じゃ』
「っ!」
『相手のカードを一枚選択して使用済みゾーンに置くハプニングカードじゃ……じゃがよく考えるがよい』
デュエル仙人の言葉によってエーシスが顔を顰める。
『儂の手札は残り二枚。そしてその内一枚は108煩悩のカードじゃ……お前がこの108煩悩を選んだ瞬間、捨てられた108煩悩の設定が開示される』
究極の、二者択一……!
「……私はハプニングカードを発動!」
「エーシス!」
普通に考えるなら108煩悩カードを選ぶリスクを取ってまでハプニングカードを使うほどじゃない。だけどエーシスは、僕の妹は少しでも勝利を掴むためならリスクすら乗り越えて見せる覚悟を持っている!
「私はね……一度たりとも自分の選択を後悔したことはない! どんな状況でも諦めず、できることは全てやる美少女なの!」
――それに。
「私だって悪運に強いんだからね!!」
何故ならエーシスは満長家の長女。
満長祭里にして――!
「――お兄ちゃんの妹だから!!」
『ならば選べ! お前が掴み取る未来を!』
そうして、エーシスが指を差す!
「私が選ぶのは私から見て右のカード!」
エーシスから見たデュエル仙人の二枚ある内の右側の手札が使用済みゾーンへと置かれる。そして表に出てきたカードは……!
『……シチュエーションカード『仙人術 - 死を飛び越える仙足』……儂がメンタルダメージを受けた時に展開される手札誘発カードじゃ』
「……つまり?」
『見事じゃ。お前は儂の選択肢を一つ潰した』
「やっ――」
『だがまだフツマの残った攻撃を忘れてはおらんじゃろうなぁ!』
「あっ」
エーシス。
MP25 → 5。
「ふぐぅ!?」
『さぁ、最後のハプニングドローをするが良い……』
「言われ、なくたってぇ……!」
そうしてエーシスが最後になるであろうハプニングカードをドローする。その瞬間エーシスとデュエル仙人、二人の顔が一変した。
「これは!」
『ぬぅ……まさかそのカードを引くとは』
「これに賭けるしかないかぁ……!」
エーシスが先ほど引いたハプニングカードを掲げる! そしてそこに書かれていたのは……!
「ハプニングカード……『アニメ化の試練』を発動するよ!!」
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