第10話 相手が自殺

 佐々木に電話した。なかなか出ない。メールを出しておいた。翌日も、連絡がない。商事会社というところに電話すると、

「彼は、自殺しました」


「え、いつですか。どうして、」


葬儀は終わっていた。両親にどう挨拶していいのか分からなかった。今頃、あの人の子どもを生みましたと言っても、金が欲しいからと思われるかもしれない。それに、本当のところは、こいつの子ではないのだから、言っても仕方はないのだが。

 自殺の理由は、





 夢の中で、あいつが出て来た。

「あんたもやるね~。つまり、俺以外の男とやって、それで子どもが出来たから、俺の子どもとしたというわけか」

「冗談、言わないで。そんなことするわけないじゃない」

「じゃあ、どうして、俺の子じゃないと言えるんだ」

「私に分かるわけはないわ」

「いやいや、驚いたね~。うまく乗せられるところだった。あぶない、あぶない」

「私、絶対に覚えがないわ。あなた、どうなの」

「いや、覚えがないわけではないんだが」

「何か、あったの」

「いや、まさか、そんなことが」

「だから、どうしたのよ」

そこで、目が覚めた。

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