第16話 性別バレ
「いっぱい借りたね〜」
「……見きれるか?」
「徹夜しようよ!」
宇海が行きたがっていたパンケーキ屋さんに行った後、俺たちはレンタルショップに足を運んだ。
そこでは、たまたま平成の映画100円セールがやっていたので、俺たちは合わせて10本の映画を借りた。こんだけ借りて1000円ってすごいよな。映画館行ったら1本見れるかどうかだぞ。映画館が高すぎるのか、レンタルショップが安すぎるのかは分からないが、どっちかがやり過ぎなのは分かる。
帰り道にスーパーがあったので、寄って、冷凍されたフライドポテトと、コーラ、ポテトチップスを買い込む。これだけ見たら食生活終わってんな。茶色しかないぞ。野菜だったり、肉だったり、そういう他の食材は昨日のうちに買い込んであるので問題ない。
「チートデイだね」
ニヤッと悪事を働いているかのような笑みを浮かべてそう言う宇海。
「エブリデイチートデイ」
「意味なくない!?」
宇海の叫びに笑いながら商品を袋に詰める。
そのまま2人でスーパーを出て帰路につく。暑くなってきたな。昼過ぎだとは言え、ここ数日でいちばんの暑さだ。夏が近づいてきてるなぁ。俺は暑いのは苦手だ。最近では北海道でも35度とか出るらしいからぁ。
「映画楽しみだね〜」
「そうか?」
「陸は楽しみじゃないの?」
「ん〜、お前が選ぶ映画、B級感強いからなぁ」
「だって面白そうだったんだもん!」
「……まぁ、見てみないと分かんないもんな」
「そうだよっ!」
宇海の機嫌を損ねたくなかったので、話を合わせたが、ビーチにサメが出てくる時点でお察しだと思う。コーヒーでも淹れながら飲むか。
家に帰り、ガチャガチャと鍵を開けて宇海と2人で家に入る。
最近は宇海が俺の家にいることの方が多くなったよなぁ。対して、俺が宇海の家に入ったことは一度もない。何やら、まだ心の準備ができていないとか。まぁなんでもいいけど。
手を洗ってから、宇海がお皿を出したり、カーテンを閉めたりと、映画館に改装している宇海に対し、俺はフライドポテトを揚げる。揚げ終わったポテトをお血に装って2人でソファに座る。俺の家にあるソファは、俺が寝っ転がるように1人用のではなく、2人用のソファだ。2人用と言っても、小さい2人用なので、マジで2人で座ると少し狭い。
氷を入れたグラスにコーラを注ぎ、ディスクをテレビにセットする。
程なくして流れ始めた映画を見ながら、俺はグラスに口をつけた。
♢
うん……うん………………つまらん。
困ったらサメ出すのなんなん?
よくこんなつまらんものを借りてくるよなぁ、と思いながら隣の宇海を見ると、すぅすぅと小さな寝息を立てながら寝ている。つまらなかったのかよ。じゃあ借りてくるなよ。
っつーかコイツまつ毛長いな。身体も華奢だし。いつのまにか俺のTシャツ着てるけどブカブカじゃん。ほんと、こうしていると女の子みたいなんだよなぁ。いや、こうしていなくても女の子みたいなんだが。喉仏全然出ていないし。男要素が一つもねぇ。
「…………んぅ…………」
可愛らしい寝息をたてながら、俺の方にもたれかかってきた。起こしたほうがいいか…………いや、昨日もバイト行ってたっぽいし、寝かせといてやるか。左腕にしがみつかれながらそんなことを考える。
「ったく、髪、目にかかってるぞ」
目のところに垂れてきた髪の毛を耳にかけてやる。
そうして、映画の方に目を戻そうとしたが、何か起きな違和感を感じてすぐに宇海の方に向き直る。
なんだ? なんか今変な感じがしたんだが…………気のせいか。
腑に落ちないながらも顔をテレビに戻そうとして、そこで気がつく。
宇海のTシャツから見える鎖骨のその横…………
「…………は? ブラ?」
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