第6話 監禁

「んじゃあ、俺は帰るぞ」


 凛のハグからなんとか抜け出した俺は、肩で息をしながらそう凛に言う。


「ん? ダメに決まってるだろう」

「子供みたいに駄々こねんなよ…………明日も講義があるんです」

「あぁ、それなら問題ない」


 なぜか胸を張ってそう言う凛。


 なんか嫌な予感がする。


「リモートで受けられるよう、学校に直談判しておいた」

「…………は?」

「いや〜、陸が私立にいてくれてよかったよ!」

「賄賂だな!? お前絶対金の力使っただろ!」

「…………黙秘権を行使する」


 こいつクソめんどいことしやがって。これで俺が明日普通に行ったら、「日向君はどうして大学に来ているのですか?」とか言われちゃうやつだろ!


「それに、この家は陸のために買ったようなものなんだ」


 それにあそこの学食普通に美味いんだから行きたって今何つった?


「は?」

「だから、陸とボクのあ、あ、愛の巣」


 人の許可も取らずに何してくれちゃってんの?


「おま、いくらすると思って」

「ん? 聞きたいかい?」

「やめろ…………卒倒する自信しかない」

「それに、今から帰っても無駄だと思うよ」

「? 何を言って…………」

「陸が住んでたあのアパート、今日付けで解約したから」

「本当に何言ってんの!?」


 俺以外であのアパート解約できんのって親くらいじゃ…………いや、金の力で丸めこんだか?


「いや〜、お義母さん優しいままでよかった」

「クソババァアアアアアアアアア!」


 あのババァ、息子の彼女(元)に甘すぎないか!? なんで俺に伝えずに解約しちゃってんの!?


「え? じゃあ俺に残された選択肢って」

「ボクとラブラブの生活をここで送ることだね」

「…………マジか…………ってか俺が凛のことを嫌いになってたらどうするつもりだったんだ?」

「最上階だからね。心中するのに丁度いい」

「重い…………愛が重い…………」


 ノータイムで返してきたよ…………しかも結構真顔だったよ…………。


「家具とかは2人で選びたかったからまだなんだ。ベッドも一つしかないし…………それじゃあ、一緒に寝ようか!」

「絶対わざとだろ!」

「まぁまぁ細かいことはいいから」

「っつーかマジで俺の家なくなってるなら風呂入らせて…………汗ヤバい」

「ふむ…………エチケットは大事だからね。いいよ」

「お前さっきの俺の話聞いてた?」

「もちろん。ポクから襲う真似はしないさ。襲われる分には無抵抗だけど」


 ヤバい。さっきああ言った手前俺から襲うのは絶対なしにしたいが、コイツ魅力的すぎるんだよな。俺の心が持つかマジで不透明。分からん。


「一緒に入るかい?」

「入りません!!」


「ふぅ〜疲れた」


 キュキュっと蛇口を捻ってシャワーを止めてからお風呂に入る。


 さて、これからどうすっかな。


 いかにも高級、って感じの実用性ガン無視した湯船に浸かりながらぼんやりと考える。


 さっき風呂に入る前に開いたスマホには、「息子よ、生まれてきてくれてありがとう。おかげでうまい寿司が食えてます」とかいうぶん殴りたくなるような文章と共に、満面の笑みで寿司を食べている両親と、その後ろで同じく寿司を食べている凛のパパママの写真が送られてきていた。家を解約したのはマジっぽい。


 となると、まずは住む場所を決めなくてはいけないのだが正直、俺が友達と呼べるのは宇海くらいだ。でもアイツ実家暮らしだからなぁ。迷惑かけたくねぇよな。


 他に助けてくれそうなのは…………玲香とかなら助けてくれるかもしれないが、向こうに行ったら行ったでなんかヤバくなる気がする。よく分からないけど避けた方がいいのは確かなんだよなあ。


 ただ、ここにいても危ないのは同じ。


「陸。のぼせてないかい?」


 風呂場の外からそんな声が聞こえる。


「大丈夫だぞ」

「それはよかった。着替え、置いておくよ」

「サンキュー。あ、俺が着ていた服って今どうなっている?」

「ジップロックに入れてボクの腕の中にあるね」

「私物化する気満々じゃねぇか!」


 玲香といい凛といい、そこまで欲しいものなのか?


 俺が凛の着終わった後のブラが欲しいかと言われれば…………欲しいわ。そういうことか。うん、欲しくなるもんだな。


「凛」

「ん? どうしたんだい? 何か足りないものでもあった?」

「いや…………告白してくれてありがとな。嬉しかった」

「…………ボクも。ちゃんと聞いてくれてありがと」


【あとがき】


 はじめにですが、僕ってすごい誤字が多いんです。


 気をつけてても一話に一つくらいのベースであるので、教えてくれると嬉しいです。まとまった時間に修正を入れます。今まで頂いた誤字指摘は全て修正を入れました。


 後、感想の返信できてなくてごめんなさい。


 いずれ返信したいんですが今は時間がなくて厳しいです。


 後、感想を見てニチャアニチャアしちゃうので感想はたくさん送ってくれると嬉しいです。


 よし、ようやく雑談(いらない)に移れますね。


 昨日、初めてコメントレビューを頂いて舞い上がってりんごジュースを2缶開けてしまいました。朝も1缶飲んでたので昨日だけで600mlりんジュースを摂取したことになります。


 炭酸入りの果汁100%りんごジュース(750ml)×2も開けようか迷いましたが踏み止まりました。虫歯になるのは嫌だもんね。


 2股をかけてきた元カノが歯医者さんの娘だったせいか、歯医者には謎の恐怖心があるストレート果汁100%りんごジュースです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る