怪談コレクター

1話

「さあ、こんばんは。あなた方の怪談をお聞かせ下さい」


ロッソ

「まずは俺から行くぜ! 最近、食べ放題に行ったんだよ。そこで肉ばっかり食ってたら、もう見たくない、逆に肉怖いってなったぜ」


葉月

「これは私がテストを受けていた時のことです。いつもよりスラスラ解けて、すごく時間が余っちゃって問題用紙に絵とか描いたりしてました。テスト終了5分前、ふと気が付いて、問題用紙の裏をめくったら、あったんです、まだ問題が」


「いや、お二人共そういうのじゃなくて、もっと幽霊とか出て来るやつでお願いします」


モモちゃん 

「ある学生が祖父母のいる田舎に夏休みの間、泊まりに来た。家で寛いでいると、どこからか「ぽぽぽ、ぽぽぽ」と奇妙な音がする。何だと思ってみてみると背丈が2メートルは超えるかいうくらいの白いワンピースを着た大女が立っていた。お祖父さんにその話をすると、その大女は「八尺様」といい、見た者をとり殺すとのこと。学生はお札と盛り塩で守られた部屋で一晩を過ごすことになる。八尺様が部屋の周りに来たが、何とか一晩やり過ごすことができた学生は無事、家にかえって帰ることができた」


「それネットで有名な話じゃないですか。もう知ってますよ」


ノイン 

「俺が工場で働いていた時の話だ。そこはヤの付く自由業の人が運営してて、たまに働いている奴がいなくなる、所謂飛んだって時があるのさ。実はその飛んだ奴はヤの付く人達に消されたって噂でさ。そこは工場、溶鉱炉があって、そこに沈めちまえば証拠は残らない。もしかしたら今、売られてる家電の部品になった奴がいるかもしれないぜ」


「人怖じゃなくてですね……」


シアン 

「これはゴミ屋敷の片付け業者をしている知り合いから聞いた話です。とあるマンションでは何度も自殺があり、その度に掃除に行っていました。その部屋の中に入ると練炭と腐敗臭の混じった酷い臭いがしました。亡くなった男性にはおもちゃの収集癖があり、部屋には彼が集めた玩具がそのまま残っていました。片付けをしている間、ウィーンウィーンと音がしました。その音のした方を見ると、おもちゃが、ひとりでに動いているのです。不気味に思ってスイッチを切るのですが、時間が経つとまた動き出すのです。知り合いは「気にしてても仕事にはならない」と思い、放置することにしました。知り合いは「この仕事をしていれば、こんなことはよくあること。気にしてたら身が持たない」と言っていました。その知り合いが最も怖かったという現場は、某銀山付近にあるお屋敷の片付けだそうです。その銀山では多くの人夫達が事故で亡くなっていました。片付けの最中に、急にブレーカーが落ちたり、知らない中年男性が、じーっとこちらを見ていたりと怪現象があったそうです。片付けを終え、帰ろうとすると、依頼人が「最後にやらないといけないことがある」と言いました。それは屋敷の側にある首無地蔵にお参りをすることだといいます。確かに屋敷の側には顔面が削り取られた首無地蔵がありました。不気味に思いながらも知り合いはお参りをして帰りました。さて、もしお参りをしなかったら、どうなっていたのでしょうね」


「そうです! これです! こんな話を求めていました! ありがとうございます!」



「シアン、すっげえな! どこで仕入れたんだ、あんな話」

「お前やけに饒舌だったな。才能あるんじゃないか?」

「怖い話、けっこう好き」

 報酬をもらってVサインをするシアン。

「シアンには私の世界の怖い話の本を貸してるんだ」

 葉月の持っている現代日本の書物は、シアンにも読めるように自動翻訳がされる。それは葉月がいることで自動的に発動する機能だ。

「そうだったのか」

「まさか、そこからインスピレーションを受けて自分で話を創作するとは思わなかったわ」

 モモちゃんも感心している。


 シアン先生の次回作に、ご期待ください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る