2話

新幹線で一時間程、京都に着いた。

「ねえ、どこ行くどこ行く?」

「俺は金閣寺ってやつを見てみたいな」

 新幹線の中で京都の旅行ガイド本を読んでいたノインが言う。

「金閣寺にはバスに乗って行くわよ」

「モモちゃん来たことあるの?」

「京都なら何回もあるわよ。他にも東京とか海外にも行ったことあるわ」

「へえ、何で?」

「前のパートナーが葉月と同じ世界出身だったのよ。だから彼のいた世界を見たくてね」

「前のパートナーさん……?」

「もうとっくに死んでるけどね」

「ごめん」

「別に謝る必要はないわ」


 金閣寺に着いた。

「うお~、金ぴかだ~」

 ノインは日本旅行中の外国人と同じように叫んだ。本当は異世界人だが。

「金閣寺は将軍、足利義満が建てたとされているわ」

「ショーグン?」

「王様みたいなものよ。で、金閣寺は極楽浄土を表した建築がされているわ」

「ゴクラク?」

「ジョード?」

「天国って言えば分かるかしら? 死んだ後に行くところよ」

「こんな綺麗な所に行けるのか?」

「死んだら何も無いと思ってた」

「俺は地獄巡りしたことあるけどな。死後の世界はあるぜ」

「そういえば、ノインはそうだったわね。地獄から帰って来たのなんて珍しい事例だわ。今度、講演会でも開けばいいんじゃない?」

「それで稼げるなら、そうするぜ」


「次は何処行く?」

「異世界人にも分かりやすいのは清水寺かしらね」


 バスを乗り継いで清水寺へ。

「たっかいな~」

「これ全部、木組みか? すげえな」

「音羽の滝にも行きましょう」

「確か水が3つあって、それぞれ効能が違うんだよね!」

「そうよ。学業上達、恋愛成就、延命長寿、どれにする?」

「私は学業かな。2年後には受験あるし」

「受験?」

「上の学校へ行くための試験よ」

「そんなのがあるんだな。葉月、頑張れ~」

「頑張れ」

「俺は延命長寿かな。ていうか皆そうだろ。恋なんてしてねえだろ」

「確かに、何処で恋愛要素があったって話だものね」


その後は近くのカフェで抹茶パフェを食べた。

「この抹茶ってやつは初めて食うけど美味いな」

「美味しい」


 宿は京都市内のホテルを取った。費用はモモちゃんのポケットマネーから出た。

 ホテルのバイキングにロッソもシアンも大喜びだ。


 次の日は嵐山を散策し、異世界探訪は終わりとなった。


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