ゴーストコレクター純
1話
天界コノハの部屋。
「ゴーストコレクターっていうのがいるのよ」
「へえ」
「文字通り幽霊をコレクションしてる奴のことなんだけど、普通、冥界の魂管理局に送らないといけない。それが滞ってきたから、こっちに依頼が来た訳。ゴーストコレクターを見つけたら、そこで保管してある魂を一斉成仏させてほしい」
「分かった! 行ってくる!」
「おう、頑張れ」
「で、ここら辺が、ゴーストコレクターが出没するエリアだね」
普通に繁華街だった。
「それっぽい奴いるか?」
「う~ん、分かんない」
「そもそも一般人が、どうやって幽霊をコレクションしているのか気になるわ」
「手分けして探すか。何か変な動きしてる奴がいたら報告な」
「うん」
数十分後。
「何か変な奴いた!」
ロッソが「こっちこっち」と言いながら、誘導する。
そいつはビニール袋を何もない空間に浮かばせ、何かを捕まえていた。いや、何もない空間ではない、葉月とモモちゃんには、何かが見えていた。
「あの人だ! ゴーストコレクターだよ!」
「まさか、ビニール袋で幽霊を捕まえているとは思わなかったわ」
モモちゃんは呆れている。
「あの~、すみません」
葉月は、たった今ゴーストコレクト中の男性に話しかける。
「何だい、僕は今、忙しいんだ」
「えっと」
「あなたがゴーストコレクターね」
「ああ、巷ではそう言われているんだね。如何にも、僕がゴーストコレクター純さ」
「幽霊をコレクションして、どうする気?」
「どうって、眺めて楽しむのさ。コレクターだからね」
「だったら自慢のコレクションを見せてもらおうか」
ノインは、こう言って純のアジトまで案内させた。
アジトは純の家だった。二階建ての普通の家だ。
純は、その家の一室をコレクションルームにしていた。
棚にはビニール袋が並べられており、何処で採集したものか付箋が貼ってあった。
「わあ、こんなに……」
「すごいでしょう! 圧巻でしょう!」
「あなた、これが魂だって分かってるのよね」
「ええ、そりゃあ勿論」
「だったら、これは、あるべき場所に返さないといけないわ」
「あるべき場所?」
「葉月!」
「あっ、うん! 魔法陣! 一斉成仏!」
ビニール袋の中の魂が一斉に光り出し、天へと昇っていく。
「じょ、成仏完了、かな」
「な、な、な……」
純が目の前で起こった出来事に狼狽する。
「僕がせっかく集めたゴースト達を成仏させるなんて! あんまりだ! あんまりだ!」
純は棚をひっくり返して暴れ出した。
「ひい! ごめんなさい!」
「逃げるぞ!」
こうしてゴーストコレクタ―が集めた魂は、無事に魂管理局に送られた。
ゴーストコレクターが今、何をしているのかは定かではない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます