怪盗エンジェル

1話

「警備のバイト受かったぜ」

 ノインは安宿で待っていた葉月達に報告をする。

「短期間・高収入のバイトだ。稼いでくるぜ」

「うん、頑張って~」


 夕方、ノインはバイト先の博物館へ向かった。

 博物館は、閉館後だというのにざわついていた。

「何かあったんですか?」

「怪盗からの予告状が来たんだよ」

「か、怪盗⁉」

「怪盗エンジェルとかいう最近巷を騒がせている怪盗さ。うちの目玉の展示物・オパールの指輪を頂きに参上するとのことだ」

「た、大変じゃないですか⁉」

「でも大丈夫。今回はインターポールからコイン警部が応援に駆けつけてくれたんだ。今日の警部はコイン警部と合同でやってもらう」


 少ししてコイン警部がノイン達の前に現れた。

「怪盗エンジェルは変装の名手だ。今、ここで警備員の誰かに変装しているとも限らない」


 博物館二階をライトが照らす。

 そこには黒を基調とした服を着て、マント、マスクをした女子が立っていた。

「可愛いは正義! 怪盗エンジェルただいま参上!」

 決めポーズが、バッチリと決まっている。

「エンジェルだ! エンジェルが出たぞ!」

 ノインも身構える。

(何だ、普通の女の子っぽいな。葉月に似てる)

「とうっ!」

 エンジェルが二階からオパールの指輪の展示ケースに向かって飛び降りる。背中には羽が生えていた。

(本当にエンジェルじゃねえか。葉月より飛んでるぞ)

 下降してきたエンジェルを捕まえようと、コイン警部を先頭に、警備員達が集まる。

(お、俺も)

 すったもんだの末、いつの間にかオパールの指輪が展示ケースの中から消えていた。

 エンジェルもいなくなっている。

「エンジェルは何処だ!」

「きっと警備員に化けているに違いない!」

「そうだ! そうだ!」

「そうだ! そうだ!」

 ノインも他の警備員に同調する。

「ばかも~ん! そいつがエンジェルだ!」

「え、え~」

 ノインの手首に手錠がはめられ、連行される。

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 何で俺⁉」

「刑事としての勘だ!」

「え~」

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