2話

勉強会当日。

 葉月が元気よく快斗のマンションのインターホンを押す。

「お邪魔しま~す」

 4人がぞろぞろと快斗の家に入って来る。

「いらっしゃいませ~」

 小学校低学年くらいの女の子が出迎えてくれる。

「あっ、来夏(らいか)! 勝手に出て行くな!」

「可愛い! 妹さん?」

「……まあ、そうだけど」

 若干の間が気になったが、唯が続ける。

「学年二位の快斗く~ん、おやつとか飲み物も買ってきたよ~ん」

「どうも。って誰だ、お前」

「2組の水無月 唯。漫画大好き。よろしくね」

 ピースをして自己紹介をする。

「3組の島田 流。よろしく」

 隣の眼鏡をかけた少年も続ける。

「ああ、よろしく」

「お兄ちゃんのおともだち?」

「い、いや、別に、友達では……」

「ちがうの?」

「え~、もう友達でいいじゃん」

「ああ、もう、そういうことでいいよ」

 始まる前から快斗は若干疲れていた。


「じゃあ、お兄ちゃん、勉強するから、来夏は隣の部屋でテレビでも見ててくれ」

「うん。分かった~」


「比例と反比例がよく分かんないんだよね~」

「分かる! グラフ上手く書けない」

「あなた達、授業ちゃんと聞いているの? 先生が言ってた通りにやれば出来るわよ」

「それは頭いい人限定です~」

「僕にも分かるように説明しろってんだ」

 島田はそう言いながら、持ってきた菓子に手を伸ばす。

「お菓子ばっか食ってないで勉強しろ。数学以外は大丈夫なのかよ」

「歴史は余裕だね」

「国語は大丈夫」

「私も。とりあえず数学教えてほしい」

 アニメ同好会三人は三人共、数学がダメだったので快斗とりんねで教えることになった。


「何となく行けそうな気がする!」

「ありがとう、快斗君、りんねさん」

「教えてばかりで俺達の勉強が出来なかったんだが」

「そうね」

「まあまあ、教えることも勉強になるっていうじゃん」



 結果、アニメ同好会の皆も成績は伸び、りんねと快斗は変わらずツートップだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る