4話

 夕方になった。

 ノインかアイン、どちらに付いていくかを決める期日だ。

「さあ、葉月どうする? 聞かなくても分かると思うけど」

 モモちゃんは完全にアイン派になってしまっている。

「アインさんと一緒にいると、良い暮らしが出来るの。でもね、ノインといる時みたいに楽しくないの。私の身の丈に合わないの」

「ちょ、葉月、何言ってるのよ! この良い暮らしを捨てる気⁉」

「そうか……。楽しくないか。なら仕方ない」

「ちょ、アイン⁉ 私はアイン派よ⁉」

「でも決めるのは葉月だろう」

「私は、これからもノイン達と、ノインとロッソとシアンと、モモちゃんと旅をしたい!」

「葉月……」

「そうか。ならば行きたまえ!」

「うん! ありがとう、アインさん!」


「これからも葉月達と旅できるってことだよな!」

「ええ。仕方ないけれど、葉月の選んだ道だもの。付いていくわよ」

「で、今日の宿は?」

「いつも通り安宿ですし詰めだ」


 次の日。

「今日は寄りたい所があるんだ」

そう言ってノインが連れてきたのは養護施設だった。

「俺はここで育った」

施設に少しばかりの寄付をし、職員に感謝された。


 次に向かったのは墓地だった。

「父さん、母さん、エミリー、紹介するよ。葉月、モモちゃん、ロッソ、シアン、俺の旅の仲間だ。仲良くやってるよ」

 皆で手を合わせ、お参りをする。

「俺の家族は、俺が学校に行ってる間に、盗賊に殺された」

「そう、だったんだ……」

「あまり暗くならないでくれ。もう昔のことだ」

「ノイン……」

「じゃあな、父さん、母さん、エミリー。また来るよ」


 そうして、葉月達はノインの故郷を後にしたのだった。


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