2話
プロイセン王国には昼前には着いた。
「後はノインが案内しなさいよ」
「分かってるって。どうする? 観光地巡りでもするか?」
「私、色々見て回りたい!」
「じゃあヨンスーシ宮殿でも行くか」
「お城⁉」
「そうだな」
ヨンスーシ宮殿の中では、貴族の絵画コレクション展が行われていた。
「まあ、俺に絵画の知識はないから解説はできねえが」
ノイン達は一枚の絵画の前に立つ。抽象画だ。
「これとか何が書いてあるか分からんが」
「それは戦場に立つ乙女を描いているのだよ」
いつの間にか、葉月達の隣に、上等な服を着た一人の青年が立っていた。
「誰⁉」
「私か? 私の名前はアイン。この絵の作者だ」
(やべ、作者の前で、よく分からん絵とか言っちまった)
「え、ああ、確かに、この辺とか戦場に立つ乙女っぽいですね」
「そこは、ただの風景だよ」
「す、すみません。知ったかぶって」
「別に構わないのだよ」
(良い奴だな、このクソイケメン)
「アイン、アイン……?」
「モモちゃん、どうしたの?」
「何処かで聞いたことのあるような……」
モモちゃんは旅の始まりの場面を思い返す。
そしてエンジェルフォンから初期資料を取り出す。
「そうよ! アインよ!」
「私がどうかしたかね?」
「私達の本来のパートナーの名前よ!」
「本来のパートナー?」
「あなた職業は?」
「旅人かな。旅先で描いた絵を時々、こうして飾らせてもらっているから画家と言ってもいいかもしれないが」
「アイン、旅人! でもトンネルの行き先が間違っていたことなんて……」
「ああ、何か最初言ってたな」
モモちゃんは「コノハに確認してくる」と言って、天界に行った。
残された葉月達はアインと共に行動することにした。
「アインさんはどこ中? 俺はポツダム西中」
「ツェツィーリエ学園だ」
「あの名門ツェツィーリエ⁉ さては、あんた良いとこの坊ちゃんだな⁉」
「一応、貴族と言われる家に生まれてはいるな」
「お、お貴族様⁉ お貴族様が何で旅人なんて」
「家の問題が煩わしくなって放浪の旅に出たのさ」
「家の問題?」
「まあ色々あるのだよ」
「へえ、そりゃあまあ大変そうですねえ」
そうこう話しているうちにモモちゃんが帰って来た。
「一回試しで守護天使変わってみるのもいいかもな、って」
「つーことは俺達5人のパーティは一旦解散って訳か?」
「ええ、一旦ね」
「どういうことだが、話が見えないが」
「ああ、そうね。私と葉月が一旦、あなたと旅をしてみるということよ」
「何故?」
モモちゃんは葉月が守護天使であること、今までノインと旅をしてきたことを説明した。
「天使は本当にいるのだな。興味深い」
「ほら、証拠の羽!」
葉月が後ろを向いて羽を見せる。
「ほう。綺麗な翼だ」
「そういう訳で、一旦別れましょ」
「ほ、本当にわ、別れちゃうのか……?」
ロッソが寂しそうに言う。
「一旦よ、今日明日と一緒に旅をしてみて、良い条件の方と、これからも旅を続けるわ」
「良い条件か……」
「じゃあ、一旦さよならね」
寂し気なロッソとシアン、複雑そうな顔をしたノインの元を去ったのだった。
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