廃墟に出る幽霊

1話

天界、コノハの部屋。

「今回の任務は心霊スポットで失踪した人の救出だ」

「また面白半分で心霊スポットに行った奴の尻拭いか」

 快斗はため息を吐く。

「まあまあ、そう言うなって。助けてやってくれ」

「仕方ない。分かった」


 りんねと快斗は、失踪者が撮った動画を見る。

「あー、こりゃやばいわ。オーブ大量発生、霊障っぽいノイズ、ラップ音、そしてはっきりと現れた幽霊、それに追いかけられる投稿者、悲鳴と共に途切れる映像。テンプレてんこ盛り」

 終始青ざめているりんねとは対照的に半ば呆れ気味で快斗は言う。

「まあ実際に行ってみるしかないか」


 目的地に着いた。

「今は潰れたホテルで」

「ラブホな!」

「おい、ハリ太郎!」

「ら、らぶっ……。そんな所、中学生が入っていい訳ないじゃないっ!」

「しょうがないだろ、天使の任務なんだから。それに今は廃墟になってるし」

 快斗とハリ太郎は特に慌てる様子もなく、廃墟の中に足を踏み入れる。

「りんねさん、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。に、任務なんだから仕方ない仕方ない……」


 道中、浮遊霊が沢山いたが、二人で手分けして強制成仏していった。

進んで行くと、異空間の穴が開いていた。

「ブラックホールみたい」

「行方不明者は恐らく、あそこにいるはずだ。入るぞ」


 異空間の中は砂漠が広がっていた。

「さあ、あいつらを探すか」

「ええ」


 しばらく歩くと、砂漠で行き倒れていた投稿者がいたので、水を飲ませ助けた。

 快斗は投稿者をおぶって異空間の入り口まで連れて帰る。

 異空間の穴を塞ぎ、暫くすると、投稿者が起きた。

「お前みたいに面白半分で心霊スポットに行く奴らのせいで、俺達の仕事が増えるんだ。霊に対抗する術も持たずに危険なものがいる場所に行くのは自殺行為だ」

「す、すみません」

「これからは心霊スポット凸動画とか止めるんだな。次は助けねえぞ」

「わ、わかりました」

「分かったならいい、じゃあな」

「は、はい」


「最近はYouTuberとかで、こういう輩が増えたから注意しないとな」

「そうね」

 しかし、似たようなYouTuberはけっこういるので、同じような任務は来るのであった。


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