第2話

「大丈夫? 助けに来たよ!」

「助け?」

「そう! ここから出よう?」

「助けなんていらない!」

「え……?」

「私は異世界に行きたかったの! 現実世界なんてクソなんだから!」

「何で、そう思っちゃうの? あなたを心配してる人がいるんだよ!」

「そんな人、いる訳ないじゃない!」

「いるよ! お父さんとかお母さんとか! 友達とか!」

「父親は離婚していない、お母さんも私が邪魔なんだ! 友達なんていない!」

「えっと……」

 葉月はどれも持っていた。だから彼女の気持ちを分かってあげることは出来なかった。

「だから異世界でいいの! 私なんて消えてもいいの!」

「あなた、名前は?」

「琴音」

「琴音ちゃん、か。だったら、私が友達になるよ!」

「へ?」

「何でもいいよ。連絡して」

 葉月と琴音は連絡先を交換した。

「これで私と琴音ちゃんは友達」

「こんなのずるい」

「私は琴音ちゃんと会えて嬉しいよ。それに、こんな白しかない世界じゃつまらないよ。世界は楽しいことに溢れているよ。一緒に探しにいこう?」

「確かに、この世界はつまらないけど……」

「琴音ちゃん、アニメとか好き?」

「うん、好き」

「何が好き? 私は『フェニックス・ナイツ』が今、熱いかな!」

「あっ『フェニナイ』私も見てる!」

「誰が好き? 私シズ様が好き!」

「私はエドワード様!」

「分かる! エドワード様も二重人格でカッコいいよね!」

「うんうん」

 二人は話し合いながら、元の世界に戻ってきた。


「葉月、おかえり!」

「その子が行方不明になってた子ね。お母さんも心配して待ってるわ」

「え、お母さんが……?」

「琴音!」

「お母さん……」

「もう、突然いなくなったから心配したのよ!」

 琴音は母親の胸の中で泣きだしていた。



「葉月ちゃん、バイバーイ! また連絡するね!」

「うん、バイバーイ」

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