第106話 同じ理由

 真白から花火大会に行けないと言われてしまった翌日、俺は亜蘭と三折、それに王子と姫路を集めて今回の件について相談をすることにした。

 俺としてはまず琥珀さんに連絡して何があったのかを訊き、その後直接真白の家に押しかけようと考えていたのだが、それこそ別の男ができたなんて理由だったとしたら家に押しかけてしまうと最悪の修羅場になる可能性もある。


 まあそんな理由ではないと信じているが、今俺がどのような行動を取るのが最善なのか、自分一人で考えていては間違えてしまう可能性もあると考えて亜蘭たちに相談することにしたのだ。

 三折なら真白が急に俺との花火大会の予定を断った理由を知っているかもしれないし。


「ごめん、夏休みももうすぐ終わるってのに急に集まってもらって」


「急に全員集めてどうしたんだ? 天川と付き合えたのか?」


「それは……まだだけど」


「じゃあ何があったんだ?」


 亜蘭にそう聞かれた俺は、真白から理由を告げられず花火大会を断られたことを伝えた。


「三折は何か知らないか?」


「いや、理由はわからないんだけど実は私明日の夜シロシロと二人でご飯食べに行く予定があったんだよ。でもその予定も理由も言われずに断られてるんだよね」


「え、三折も断られてるのか?」


「うん。その時はまあ急に大事な予定が入ることもあるよねと思って気にも留めなかったんだけど、何か裏がありそうだね」


 三折がそういうと、王子が話し始めた。


「どっちの予定も断るということは、窪田君以外に別の男ができたという可能性は少なそうだね」


「アンタじゃあるまいし、せっかく窪田君といい感じなのに他の男の子に手を出したりはしないでしょ」


「アンタじゃあるまいしとはなんだよ! 僕だってもう心を入れ替えて変わったんだから昔の話は水に流してくれないかい⁉︎」


「流せるわけないでしょ! ずっと根に持つわよ!」


 この二人は相変わらずで安心する。


 それにしても俺との予定だけでなく三折との予定も断っていたのか……。

 となると王子が言っていた通り別の男が絡んでいるということはなさそうだ。


 こうなると真白は否定していたが身内の不幸だったりするのだろうか。

 それこそ寿子さんに何かがあったとかなら、俺に心配をさせないように理由を話したくない理由もわかる。


「私にも話せないような何かがあったのは間違いないと思うけど、流石に私たちだけじゃ理由はわからなさそうだね。とりあえず私からはシロシロに何があったのか訊いてみる」


「助かる。ありがとう。俺も何かしてないと気が済まないんだけど、流石に直接言えないかとかはまずいよな?」


「うーんそうだね。シロシロが私たちとの予定を断った理由がわからないうちは直接行くのはやめた方がいい気がする」


「だよな……」


 それではもう今おらにできることは三折が真白から理由を聞くのを待つことくらいだ。

 それでもこのまま何もせず時間が過ぎるのを待っているだけになるのは嫌なので、他に何か出来ることはないか考えることにした。

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