第104話 花火大会の予定
「当日は何時に集合する?」
「私の家に三時くらいにきてもらおうかな? そこから花火大会の会場向かって屋台回ったりしながら花火が始まるの待てばいいよね」
花火大会を一週間後に控え、俺たちは真白の家で花火大会当日の予定について考えていた。
俺が真白を花火大会に誘った時に、やたら食い気味に行くと返事をしてきた理由は寿子さんの家で判明した。
真白にとって花火大会が大切な物であることが判明したからには手を抜くことは許されない。
それに花火大会が大切なのは真白だけでなく、俺にとっても昔真白と真白の父親と行った花火大会は大切なものとなった。
そんな花火大会を絶対に最高の思い出にするために、俺は真白と予定を考えていた。
「そうだな。花火開始の十分くらい前になったらちょっと移動してもいいか? 人が少なくて綺麗に花火が見えるいい場所知ってるから」
「えっ、何それすごい! そんな場所知ってるの!?」
「昔家族で見に行ってた時にそこから見てたんだ。今も見れるかどうかわかんないけど下調べはしとくよ」
俺が昔よく花火を見に行っていたのは花火大会会場の近くにあるスーパーマーケットで、そのスーパーの屋上駐車場からよく花火が見えるのだ。
かなり近い距離で綺麗に見えるというのに、屋上にある駐車場ということもあって意外と知られていない穴場なのである。
「嬉しい。もっと楽しみになってきちゃったな〜」
花火大会の予定を立てながら、真白に気づかれないように告白をするための場所に行く予定を盛り込まなければならないのは難しいかとも思っていたが、真白は全く気づく様子もなくスムーズに予定を組み込むことができた。
「楽しみすぎて迷子になったりはしないように気をつけてくれよ」
「うん、私なんか迷子になりそうだもんね」
「自分でわかってるなら大丈夫そうだな」
「そういえば咲良と国平君も一緒に行くみたい。なんか王子さんと姫路さん含めた四人で行くって言ってたからもしかしたら会うかもしれないね」
真白は何も考えていないかもしれないが、その四人がみんなで花火大会を見に行って、俺と真白は二人で花火大会に行くということはもうそういうことである。
真白がそれに気付かない人間で本当に良かったと思う。気付かれた上での告白はハードルが上がっていそうだからな。
「会えるといいな」
「うんっ。本当楽しみ」
その後も俺たちは花火大会を最高の思い出にするために、細かい予定を考えていった。
◆◇
『……本当にごめんっ。花火大会いけなくなっちゃった』
花火大会まで残り三日となった日の夜、突然真白からかかってきた電話に出て告げられたのは、花火大会に行けなくなったという最悪の連絡で俺は頭が真っ白になってしまった。
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