第76話 告白のプラン
「告白するなんて大見得切ってるけど、何か策でもあるの?」
姫路からの鋭い指摘に俺は「グギュゥッ」と首を絞められたような声を出した。
勢いで告白するなんて言ってしまったが、本当に勢いで言っただけなので、どうやって告白するかなんて何も考えていない。
ここでズバッと告白プランを言うことができれば、みんなを安心させることができただろうが、これでは頼りない印象を与えてしまう。
「僕みたいにイケメンなら女の子への告白なんて朝飯前なんだけどな。好きだと伝えるだけでみんなオッケーしてくれるし--って痛っ⁉︎」
「もう私以外の女の子に告白する必要なんてないでしょうが! というかそもそも私以外に告白してオッケーされたこと無いでしょ!」
頼りない印象を与えたかと不安に思っていたが、王子と姫路がいつも通りすぎてそんな不安はすぐに消え去った。
この二人の関係性、羨ましいな……。
王子はこれくらいの冗談なら言っても大丈夫というラインを理解し、そして姫路もまた王子をどれくらいの強さで叩いても大丈夫なのかというラインを理解している。
そんな二人だからこそ、今見たように喧嘩をしても関係が悪化することはなく恋人としてやっていけているのだろう。
俺と真白はこの二人のようになれるだろうか……。
いや、やらなければならないのだ。告白をすると宣言したからには、必ず王子と姫路のような関係にならなければならない。
そうなるためにはまず告白を成功させなければならないわけだが、宣言したはいいものの成功する気は全くしないな……。
王子が多くの女の子に告白していたのは褒められたことではないが、その度胸だけは見習わなければならない。
「じょっ、冗談じゃないか! そんなに強く叩かなくたっていいだろ⁉︎」
「アンタが叩かれるようなこと言うのが悪いんでしょうが!」
……いや、やっぱりこの二人はお互いのことを深く理解なんてしていないのかもしれない。
それでいて恋人をやれているのは、小さい頃から築いてきた信頼関係があるからなのだろうか。
「ほらほら、窪っちがキョトンとしちゃうから。あんまり二人のペースに持ち込まないの」
「「ごっ、ごめん……」」
「何もプランが決まってない窪っちにシロシロの親友である私から一つだけ教えてしんぜよう」
三折が珍しく真面目な表情をしているが、何を教えてもらえるのだろうか。
「……何を教えてくれるんだ?」
「シロシロは花火が大好きなのです」
「花火? 手持ちのやつか?」
「いやそりゃまあそれも好きだろうけど、夏に花火って言ったら打ち上げ花火でしょ」
「……なるほど」
「だから行っちゃいなよ。花火大会」
「花火大会?」
「花火大会行って、言っちゃいなよ。好きだって」
何もプランが見えていなかった俺だが、三折のおかげで少しだけ真白への告白のプランが見えたような気がした。
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