第77話 電話
亜蘭たちから夏休みの話をされた日の夜、スマホを握った俺は自分の部屋のベッドに座ったまま何をすることもできず三十分程度が経過してしまった。
真白を花火大会に誘うためRINEで真白に電話をしようとしているのだが、通話ボタンを押す勇気が出せないでいるのだ。
俺はRINEのトークで真白を誘おうと思っていたのだが、三折が『電話の方が絶対シロシロ喜ぶよ!』というので、電話をすることにした。
最初は『いいだろトークでも』と三折に対して反論したのだが、『直接シロシロの家に行ってもらってもいいんだよ?』と真顔で言われたので腹を括ったというわけ。
いくら一度琥珀さんとお話をしたからと言って、何の連絡も無しに直接真白の家に行くのは無理があるので、それなら電話のほうがよっぽどマシだ。
そうは言いながらも電話もできていないんだけどな……。
電話もできないようでは告白なんて夢のまた夢なので、これくらいは息をするように当たり前にこなしたいところ。
告白どころか電話すらできないようではこんなこともできないのかと自分に自信をなくしてしまうし、何よりこれ程までにチキンな俺なんて真白が好きになってくれるわけがない。
すでに三十分をかけてしまっている時点でチキン判定されても仕方がないが、ここは勇気を出そう。
決心した俺はスマホの画面に表示されている通話ボタンを押した。
真白は俺が通話ボタンを押して五秒程経過してから応答した。
「もしもし、真白か?」
『もしもーし。もちろん真白だよ? どしたの? 急に電話だなんて』
「えーと……」
おい、この期に及んでまだ勇気が出ないのか俺って奴は。
もう電話は繋がっているのだから後は花火大会に行こうと誘うだけだというのに、なんでその一言が言えないんだよ……。
『大事な話? 何か辛いことでもあったの? 今から颯一君の家まで行こうか?』
電話をかけておいて花火大会に誘う勇気がなくしどろもどろしている俺に対して、真白は急かすどころか優しい言葉をかけてくれている。
今から家に行こうか? だなんて普通の人間ならそう簡単に言えることではない。
ああ……。やっぱり俺は真白が大好きだ。
結局は真白に勇気をもらう形になってしまったが、真白に対する想いが更に大きくなった今なら花火大会に誘うのも難しくない。
「真白」
『ん? どうしたの?』
「明日から夏休みじゃんか」
『うん。そうだね。それがどうかした?』
「夏休みになるとさ、学校に行ってる時みたいに毎日会うことができないだろ?」
『そっ、そうだね……。抱きつけなくなるのも寂しくなるなとは思ってた。颯一君に迷惑かなと思って何も言わなかったけど』
「だからさ……」
『……うん』
「夏休み中、毎日会いたい」
『……え?』
俺は真白への想いが大きくなりすぎて、花火大会に誘うよりもとんでもないことを言ってしまっていた。
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予約忘れてました(m´・ω・`)m ゴメン…
十分遅れですがよろしくお願いしマァス‼︎
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