第50話 限界
天川に『何か固いものが……』と言われた俺は、急いであぐらをかいている状態から両足を上げ、固くなってしまったアレと天川との距離を離した。
閉所恐怖症の天川からお願いされて、学校1の美少女である天川と抱きつくというあり得るはずのない状況ができあがってしまったわけだが、閉所恐怖症でもなんでもない俺からしてみれば、この状況で平静を保つことは至難の業だ。
天川に抱きついて興奮していることをバレないようにするのに神経を集中しすぎていた俺は、自分のアレが固くなってしまっていることに気付いておらず、天川と筋肉質になってしまった俺の息子が触れ合ってしまった。
天川に『何か固いものが……』と言われた俺は、一瞬で固いものと天川の距離を保った。
とはいえ、流石に今のが俺の息子であるということには気づかれてしまっただろうか。
気付かれていたとしたら、変態扱いされて嫌われるどころか、最悪の場合退学までありあるかもしれない。
「ごめん、骨か何かに当たっちゃってたかな?」
……これは今天川の触れていたものが、俺の筋肉質な息子だということには気付かれていない様子。
こうなったら、今のは本当にどこかの骨だということで話を貫き通すしかない。
てか俺の息子って筋トレ後は骨くらい硬くなるのかすげぇな。
「そ、そうだな! どこの骨かわからないけど今天川に当たってた気がする!」
「やっぱり当たってたよね? 骨よりは柔らかいような気もしたけど骨だったか。ゴツゴツした男の子の体ってなんか興奮するね」
こ、興奮⁉︎
今まさに俺が天川に抱きつき、天川の華奢な体に興奮したことを必死に隠していたというのに!天川はさらりと俺の男らしいという体つきに興奮したと言ってのけたのだ。
え、それじゃあ俺も天川に抱きついて興奮したって言っても問題ないってことこ?
いや、でもやっぱり男女の違いってのもあるし俺がそう言うのは犯罪的な香りも……。
とにかく、俺の息子は天川の言葉を聞いて、さらに肥大化し固くなる。
肥大化した俺の息子が天川に当たらないよう、俺はさらに足を上げる。
「俺帰宅部だし、そんなに男らしい体してるような気もしないんだけど」
「え? でもちゃんと固かったし、男らしかったよ?」
そりゃ男らしいでしょうね。男の一番男してる部分なんですから。
というか、天川を俺の息子から離すために足を上げたこの体勢、大変すぎてもうそろそろ限界なんだが。
いやこれほんとそろそろまずいんだが。
「そ、そうか……。よかったよ。女じゃなくて」
「流石に女の子なわけないじゃん。ちゃんとかっこいいもん。颯一君」
「あっ--」
天川にかっこいいと言われた瞬間、喜びと驚きから俺は体の力が抜けてしまい、天川を押し倒すような形で倒れていってしまった。
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