第46話 閉じ込められ
体育倉庫前にやってきた姫路と王子。
嘘で2人を体育倉庫前に呼び出して、体育倉庫の中から2人の会話を盗み聞きしているが、2人の会話はヒートアップしていく気しかしない。
「なんで私が謝らないといけないのよ!」
「僕に対して謝る理由もわからないのかい?」
「そんなのわかるわけないでしょ⁉︎」
「ふんっ……。わからない君じゃあ僕の隣に立とうなんて100万年早いね」
王子の言葉に俺と天川は顔を見合わせた。
あのセリフはまさに中学時代、姫路が王子に放ったセリフだ。
やはり王子は姫路が言っていた通り、姫路にバラを渡した日をきっかけに女の子に声をかけるようになってしまったのだろう。
自分が言われたセリフをそっくりそのまま姫路に言い返すだなんて、どれだけ姫路の言葉を根に持っていたのか……。
「--っ。どの口が言ってんのよ! あんたの隣に立つなんてこっちからごめんなんだから!」
次の瞬間、乾いた音が鳴り響く。
「いって⁉︎ え、ちょっ、待っ……」
姫路は再び王子の頬を叩いた。
叩かれた王子はというと、以前のように明らかに困惑している。
しかし、王子が姫路を引き止めようとする頃には、すでに姫路は王子に背を向けて歩き出してしまっていた。
前回も王子を叩き、今回も王子を叩いた姫路のことは、何も知らなければただの暴力女だと思わざるを得ない。
しかし、俺は王子と姫路の関係を知っているので、姫路がただの暴力女ではないことくらいはわかっている。
むしろ、姫路だって本当は王子を叩きたくないはずだ。
王子が天川にしたような行為を大勢の女子にしていたとするならば、姫路のストレスは計り知れない。
自分が好きな男子が女子へ頻繁に声をかけるなんて、容易に耐え切れることではない。
俺だって天川が大勢の男子と会話をしたり、告白したりなんてことをしていたとしたら、とてもじゃないが耐え切れる自信はないからな。
そんな苦しみに耐えて耐えて、何度も叩きたくなりながらも耐えて耐えて、それでも状況は改善されずまた耐えて。
ずっと耐えてきた姫路はついに限界を迎えてしまったのだ。
一度限界を超えてしまえば、もう一度その限界を越えることは容易になる。
だから今の姫路は、先ほどのようにすぐに手が出てしまうのだろう。
姫路が王子に言った言葉も許されるものではないが、正直姫路のほうに肩入れはしてしまうな。
「なんだったんだよもう……」
姫路がこの場を後にしてからしばらくして、王子も俯きながら体育倉庫前を後にした。
「全然上手くいかなかったね……」
「いや、そうでもないぞ。今回で確信を持てたこともあるし」
「……そうだよね! 昨日の今日で解決できるほど簡単な案件でもないだろうし、諦めずに解決に向けて頑張らなきゃだよね!」
「よしっ、それじゃあそろそろ教室に戻るか--」
ある程度の収穫を得て教室に戻ろうと体育倉庫を出ようと立ち上がった瞬間、ガチャっという音が聞こえてきた。
俺にはわかる。
これからみんなが大好きな、体育倉庫への閉じ込められが発生するのだから。
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