第44話 2人で作戦会議

「……行っちゃったね」


 突然亜蘭と三折がファミレスを後にして、俺は天川と2人きりになった。


 天川とは何度か2人で遊んだものの、急に2人きりにされたので、まだ天川と2人で話すだけの心の準備ができていない。


 亜蘭のように女の子の前で饒舌に言葉が出てくるわけでもないので、何を話せばいいのかを頭の中で必死に考えていた。


「ま、まあ三折の牛肉の件は置いとくとしても、亜蘭のばあちゃんは普通に心配だし仕方ないな」

「そ、そうだね。大丈夫だといいけど」

「2人にはなったけど、とりあえずどうやって王子と姫路の関係を修復させるかを考えるか」

「うんっ。そうしよう」


 とりあえず会話を途切れさせないために、今日の目的である王子と姫路の関係を修復させるための作戦を考えることにした。


 そうは言ったものの、4人で作戦を考えるためにファミレスに来ていた俺は、亜蘭に任せておけば作戦なんていくらでも出てくるだろ、と思っていたので、俺の頭の中には作戦なんて何一つとして思い浮かんでいない。


 その上、突然天川と2人きりにされて冷静ではない俺に、今から作戦を考えるなんて不可能な話だった。


「どうするのがいいだろうな」

「わかんないよね。私も正直咲良と国平君に任せておけば何かしらいい案が出てくるんじゃないかなって思ってたから、何にも思い浮かんでない」


 天川が俺からは何かいい案が出てくるとは思わなかったことが若干ショックではあるが、それはむしろプラスなことなのだと受け取ることにしよう。


 天川にとっては、亜蘭と三折は恋愛に精通した猛者で、俺は恋愛なんてしたことがない無害な男という認識は間違いなくて、そのおかげで俺に安心感を抱いてくれているということが確定したのだから。


 うん、でもちょっぴり悲しい。


「王子と姫路の関係を改善させるには、か……」


 冷静ではない俺に作戦を考えるなんて不可能、と言ったが、冷静であったとしてもこの手の話を解決するための作戦なんて思い浮かばないだろう。


 それでも、考えるのを放棄するわけにはいかない。


 王子と姫路の関係を修復したいというのは、天川からのお願いなのだから。


 どうすれば王子と姫路の関係を修復されられるだろうか。


「色々考えてるんだけど、逆に火に油を注いじゃうことになるような気もして中々難しいね」

「王子と姫路の関係が今より悪化したら最悪だからな」

「あれ以上悪化しないような気もするけどね」

「まあ今が一番最悪な状況だろうしな……あ、こんなのはどうだ?」


 俺は唯一思いついた案を、天川に伝えた。

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