第41話 過去の解明
放課後、俺たちは姫路が一人になるタイミングを見計らって姫路に声をかけた。
「姫ちゃん、ちょっといい?」
あまり関わりのない姫路のことをすでにあだ名で呼んでいる三折、コミュニケーション能力が高すぎる。
「あっ……。さっきはごめんっ! 謝りに行こうと思ってたんだけど謝りに行きづらくて……」
「いいのいいの。急に夫婦喧嘩見せられたのはまあびっくりしたけど、全体的に悪いのは王子んだったし」
「公陽が迷惑かけてほんとごめん。天川さん、びっくりしたよね?」
「う、うん。びっくりはしたけど、姫路さんのおかげで大丈夫だったから」
「それならよかった……」
姫路さんは王子のしでかしたことなのに、自分がやってしまったかのように反省している。
いや、ほんと王子からしてみれば姫路さんって女の子がそばにいるんだから姫路と付き合えばいいのにな。
昨日の口ぶり的に、姫路は多少王子に気がありそうだったし。
そして俺は本題に切り込んだ。
「王子とは幼馴染なんだよな?」
「……うん。昨日のケンカ見てたらそうは思えないかもしれないけど、昔はすごく仲が良かったの」
うん、あのケンカ見てたらそりゃもう仲がいいんだろうなとはみんなが思うと思うぞ。
まあ今は何かしらの問題が起きてるんだろうけど。
「じゃあなんで喧嘩するようになったんだ? というか王子は昔から女好きだったのか?」
「昔の公陽はむしろ女の子と話すのが苦手で、唯一会話できる女の子が私だったの。だから今公陽がたくさんの女の子に声をかけてるのが信じられなくて……」
昨日の『好きで女の子に声かけてるんじゃない』という王子の発言。
今の姫路の話を聞く限り、あの発言はどうやら本心のようだ。
それなら一体いつ、どのタイミングから、なぜ王子は女の子に声をかけるようになったのだろうか。
「いつから王子は女の子に声をかけるようになったんだ?」
「ちょうど中学校に入学した頃からかな……。まあ結局声をかけるだけで付き合ったりはできてないみたいなんだけどね」
何気に可哀想な話ではあるが、気にしないでおこう。
「何か王子が女の子に声をかけるようになったタイミングで変わったことは?」
「うーん……。変わったことってわけではないけど、小学校を卒業するときに公陽からバラの花束をもらったの。それがすごく嬉しくて今でもはっきり覚えてるんだけど、それ以降なぜか私に冷たくて、女の子に声をかけるようになったの」
「えーっと、それって赤いバラか?」
「……うん。そうだけど?」
「それもらった時、姫路はなんて言ったんだ?」
「えっ、確か『公陽にしてはやるじゃない。まあ私に花束を贈るなんて100万年早いけどね』って」
……なるほど。そういうことか。
大体状況は把握できたが、これは姫路も姫路かもしれない。
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