第27話 友達の恋愛事情2

「なんだろうね。真面目な話って」

「さぁねーっ。男の子の考えてることはよくわかんない」


 アーランから自分の席に戻ってくれとお願いされた私は、シロシロを連れて自分の席へと戻ってきた。


 うん、なんとかアーランにシロシロと窪っちが2人で焼き鳥屋に行ったことをバラすことができた。


 シロシロが窪っちのことをよく見ているなーと気付いたのはつい最近のこと。


 最初は気のせいかと思って気にも留めてなかったんだけど、最近シロシロの視線があまりにも頻繁に窪っちに向いているので、流石に気になり始めた。


 男の子が苦手なシロシロが男の子に興味を持ったこと自体驚きだし、その男の子が影の薄い窪っちだったのも驚きだった。


 いや、まあ驚きというか、シロシロが男の子が苦手な理由を考えれば、窪っちみたいな影が薄くていい意味で男っぽくない男の子を好きになるのは当然のことだとは思う。


 とはいえ、学校内には敵なしの可愛さを誇るシロシロが、アーランの陰に隠れているだけの窪っちに興味を持ったのは意外だった。


 シロシロとは小学校の時からの仲で、シロシロのお母さんの男関係がだらしなくて、そのせいでシロシロが男の子に対して苦手意識を持っているのも知っている。


 それを知っているからこそ、私はシロシロに男の子が苦手なのを克服してほしいと思っている。


 シロシロがこのままお母さんのせいで、男の子が苦手なまま歳を重ねて幸せになれないのは可哀想すぎるし。


 そう思っていながらも、男の子が苦手なシロシロに無理矢理男の子へ興味を持たせようとするのは違うとも思っていて、中々行動に移せていなかった。


 そんな状態の時に現れたのが、窪っちだったのだ。


 私から見たら窪っちは、シロシロに推せる要素が詰まった完璧な男の子だった。


 男っぽくなくて優しくて、アーランみたいに女の子と関わりがあるわけでもない、願ってもない好物件。


 私からはもう窪っちが救世主のように見えている。


 これからシロシロと窪っちをくっつけようとしていたから、映画を見に行った時も嘘をついて2人を残して帰宅したり、窪っちに助けを求められても助けに行かなかったのだ。


 そして今、アーランにシロシロと窪っちが2人で焼き鳥屋に行ったのをバラしたのも、そんな理由があったからだ。


 アーランはあからさまにシロシロを狙っているので、窪っちとの恋路を邪魔されるかもしれないし、下手をするとシロシロの男の子に対する苦手意識が悪化してしまう可能性もある。


 アーランを牽制するためには、シロシロと窪っちが焼き鳥屋に行ったことをバラすのは必要なことだったのだ。


「窪田くん、大丈夫かな……」

「大丈夫って何が?」

「いや、私と2人で焼き鳥行ったこと、黙ってたみたいだったし、国平君に『なんで俺が大変な時に焼き鳥なんか言ってるんだよ』って怒られるんじゃないかと思って」

「……大丈夫だと思うよ?」


 シロシロの心配が的外れすぎて思わずため息を吐きそうになったが、シロシロはまだこれでいいのだ。


 少しずつ恋愛観を養って、いずれ窪っちと付き合ってくれれば私の頑張りは報われるのである。

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