第20話 帰り道

 酔いが覚めた私は、窪田君に『送ってく』と言ってもらったにも関わらず、『大丈夫だよ、1人で帰れるから』と言って1人で窪田君の家を後にし、自宅までの道のりをゆっくりと歩いていた。


 せっかくなので窪田君の厚意に甘えたいところではあったが、あの時の私は1秒でも早く窪田君から離れたいと思っていた。


 もうまともに顔も見れないような状況だったし……。


 それにしても、未成年だっていうのにまさかお酒を飲むことになるなんて思ってなかったな……。


 意図的に飲んだわけではないけど、意図的であっても意図的じゃなかったとしても、お酒を飲んで酔っ払ってしまったことに変わりはない。


 まさか店員さんが間違えてお酒を運んでくるとは思っていなかった。


 酔っ払うと私、あんな感じになるんだな……。


「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。私、なんであんなことしちゃったんだろう……」


 酔っ払っていたからとはいえ、私は自分の行動を思いっきり後悔していた。


 窪田君を押し倒して謎の質問してしまったことについて、どう弁明していいかわからなくて、窪田君にはお酒を飲んで酔っ払っている間の記憶は無いふりをした。


 しかし、実際飲んだお酒は少量で、あの程度のお酒で記憶をなくすほど私もお酒に弱くはない。


 なので、私が窪田君を押し倒して、わけのわからない質問をしてしまったことを、私は鮮明に覚えているのである。


 できることなら本当に忘れていたかったな……。


 なにが、『なんで私、窪田君のこと気になってるんだと思う?』なのよ私……。


 そんなこと訊かれたって、窪田君が答えに困るのは当たり前に決まってるのに。


 それに、そんなことを訊かれたら、『私が窪田君に好意がある』のだと、窪田君が勘違いしてしまう。


 窪田君のことが気になっているのは間違いないが、私自身まだこの気持ちに結論を出せていない。


 そんな状況で、私が窪田君に好意があると勘違いさせてしまったら、今後窪田君と関わりづらくなってしまう。


「……大人になってもお酒は絶対に飲めないな」


 仮に私が大人になってお酒を飲めるような年齢になったとしても、お酒を口にするのはやめておいた方が良さそうだ。


 今回はこの程度で済んだが、今度は何をしでかすかわからない。


 ……それにしても、私が目を覚ます直前、窪田君が私を覗き込んでいたのはなんでだったんだろう。


 私が目を覚ましたら、急に目の前に窪田君の顔が現れて、私の顔を覗き込んできていたので、びっくりして思わず寝ているふりをしてしまった。


 ……酔っ払って倒れてる私のこと心配して様子を伺ってくれてたのかな?


 うん、多分そういうことだよね。窪田君優しいし。


 今日、窪田君のことが気になっているという気持ちに答えは出なかったが、焦ることなんてない。


 今回のようなミスはもう2度と犯さないよう気をつけて、窪田君がどんな人なのかを見定めていくことにしよう。

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