第1章・綺麗なエルフ族の女の子
001:異世界転生してみた
電車に轢かれて死んだ俺〈宮島 春樹〉32歳は、ブラック企業に入社したせいで、最高の人生を送れなかった。
そんな俺が女神によって異世界の赤ちゃんに転生させてくれたが………なんで孤児院の子供に転生させた?
(親が居たりしたら、貴方は人生を謳歌できないと思ったので、今回の人生では孤児にしております)
この声をかけてきたのが誤って俺を殺した女神の〈ララトゥーナ〉だ。
俺の声が聞こえる為に、ここでの会話もララトゥーナには丸聞こえである。
それじゃあララトゥーナに聞くが、なんで貴方の声が俺に聞こえるんだ?
(それはまだ貴方に両親がいない理由を説明していなかったからです!! それでは私は消えるとしますので、ここから先は人生を謳歌して下さい!!)
言われなくても前世の様にブラック企業の社畜になって、大切な人生を無駄にするのはゴメンだ………しかし今は喋りもできやしない、何故なら赤ちゃんだからだ。
* * *
俺が異世界に転生してから15年が経った。
今日は こちらの世界で俺が成人になる日だ。
「ミナト君っ!! 成人、おめでとうございます!!」
「シスター。俺が、ここまで大きくなれたのはシスターたちがいたからですよ………本当にありがとう」
「み ミナト君っ!!」
この世界での名前は孤児院の名前を苗字にもらった〈ミナト=カインザール〉である。
そして俺の誕生日を他の誰よりも俺よりもガン泣きして祝ってくれているのが、育てのシスターである〈クラン〉だ。
「ミナトお兄ちゃんっ!! ミナトお兄ちゃんって冒険者になるんでしょ?」
「そうだね。シスターたちと話し合って、明日には冒険者ギルドに登録しに行くんだよ」
「そんな!! 寂しいなぁ………」
「そんなに寂しがるなって、今生の別ってわけじゃないんだからさ」
俺の他にも義弟の〈ミチル〉〈ライキ〉と、義妹の〈ミライ〉〈シュリ〉の4人の兄妹がいる。
そんな可愛い兄妹とも暮らせるのは今日でラストであり、俺は明日から遂に異世界の
もう15年間も冒険者になれる日を、どれだけ待ち望んでいたか………もちろん、この15年間で世界についての勉強も怠る事は無かった。
「ミナト。明日は始まりの街〈フェランテール〉に行くんだろ? そこを拠点にするのなら、ここで暮らせば良いじゃないか」
「そう言うわけにもいかないんだ。俺は死ぬまでに、世界を色々と回って冒険がしたい………小陸、中陸、大大陸と色々とみたいんだよ」
この世界は大陸が3つあるらしく、名前の通りに1番大きいのが《大大陸》、中くらいのが《中陸》、そして今いるのが世界で1番小さな《小陸》である。
この名前を聞いた時は正直、俺を舐めているのかと女神ララトゥーナに文句を言いたくなった。
そんな中で俺はある目標を決めた………それは《世界全種の嫁を貰う》と言うものだ。
これを昔からシスターや兄妹たちに言っているが、あまりにも視線が冷たく痛い子を見る目で見てくるので、ある程度の歳をとってからは自分の心のうちにしまう事にした。
「それにしても お前に魔法やら剣術やらの才能があるとは思わなかった………お前が覚醒したのは、ここ最近だろ?」
「うぇ!? えっと………そうだね。ここ最近は頭が冴えたり、体が軽かったりするからね!!」
俺がララトゥーナから貰ったスキル《コピー》は、相手に触る事でスキルをコピーできる。
しかし田舎のカインザール孤児院の周りに、そんなスキルを持っている人間がいるわけなく、ここ最近までは運動も魔法もダメダメの男として扱われていた。
「そうかそうか!! それなら一向に問題はない………このカインザール孤児院の誇りだよ!!」
「神父様、いや。ミサエル様………ここまで育ててくれてありがとう」
神父様には色々と俺の目標を馬鹿にされたり、剣術指導などでボコボコにされて恨んではいるが、この際どうでも良い事だ。
とにかく俺は明日の朝に冒険者として、このカインザール孤児院を出ていくんだ。
そんな日の夜に、外がドカーンッとかギャーギャーッと うるさ過ぎて眼を覚ましたのである。
「へっ!? なんで、こんなに燃えてるの!?」
俺が外を見てみると孤児院の周りの森が焼けており、夕焼けかと思うほどに赤みかかっている。
俺は部屋に置いてある剣を待ってから神父を起こして、他の子供たちを避難させる様に頼んでから外に出る。
「こんな平和なところで、ドカンドカンやられてたまるか………行くしかないか!!」
―――スキル・高速移動Level2
俺は爆発の根源とも言える場所に、村に来ていた剣士からコピーした高速移動スキルを使って向かう。
こんなところでドンバチをやって欲しくないから、ある程度のレベルの奴なら制圧しようかな。
「ん? あれは女の子か?」
俺が移動していると数人の黒いローブを着た人間たちが、1人の女の子? を追ってファイアーボールを放っている。
爆発音と森の火災は確実に、あの人間たちが放っているファイアーボールだと分かった。
ファイアーボールの大きさからして、そこまでレベルの高い火魔法では無いな。
「そんな事よりも女の子なら助けなくては!!」
追われている女の子は木の根っこに足を引っ掛けて、派手に転ぶとローブの人間たちに追いつかれる。
そしてローブの男たちが、女の子に掌を向けているからファイアーボールでトドメを出そうとしているのだろう。
女の子の完全に殺されると思って体を縮め込ませる。
「女の子を殺させるわけないだろ!!」
―――スキル・斬撃Level3
―――スキル・筋力増強Level2
普通にかっこよく間に入って止めたいところだが、それでは間に合わないから飛ぶ斬撃に、筋力アップで威力を高める。
飛ぶ斬撃は綺麗にローブの人間たちの腕を斬り落とした。
そのまま地面に着地すると同時に剣を向ける。
「おいおい。こんなところで、火の玉なんて打ち込むんじゃねぇよ」
「ちっ!! 引き上げるぞ………」
ローブの人間たちは斬られた腕を押さえて痛がっているが、明らかに血の量的に死ぬのではないかと思える。
だが、そんなのは一向に関係ない。
何故なら女の子を殺そうとしていた人間なんて、死んで当然だと思って………いや。過激な言い方は辞めよう。
そんなこんなでローブの人間たちは勝てないと判断して、直ぐに逃げ帰っていくのである。
「これくらいで逃げるんなら、最初から襲うなっての………お姉さん、だいじょう………ぶ!?」
「助けていただきありがとうございます………」
俺の目の前にいる助けた女の子は、髪の毛はブロンドで三つ編みにしており、耳は普通の人間の長さではない。
これは異世界で言うところの《
「お 俺のハーレムに入ってくれないだろうか!!」
「ん? うぇ!?………ご ごめんなさい!! ちょっと初対面の人に言われたセリフの中で、1番気持ち悪いです!!」
「お おぉ〜う………」
考えるでもなく先にハーレムに入って欲しいと言葉が出ていたらしい。
俺の本能が告白したのだ方が、そりゃあ気持ち悪いって言われるだろうなぁ………悲しい。
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