002:いざ、ハーレム集めの旅へ

 ローブの怪しい人間たちに命を狙われている、美しいエルフの女の子を助けな俺だったが。

 出会って数秒で、告白から気持ち悪いという言葉を貰うまでの経験を悲しくもしてしまった。

 いきなり告白したからと言って、気持ち悪いとまで言わなくても良くない? ハーレムになってと言うのがダメだったのだろうか?



「き 気持ち悪いと言ってしまって申し訳ありません………助けてもらった事には、本当に感謝をしています」


「別に助ける分には良いんだけどさ。どうして、あんな人たちに追われてたりしたの? ここまで森をやられちゃったら、俺にも知る権利はあるなかなぁ〜って思って」



 別に関係をやり直してハーレムに入ってもらおうとしているわけではなく、本当に何があったのかを聞きたいだけだ。

 まぁ彼女の様子からすれば、相当な事に巻き込まれた結果なんだろうと、大体の予想は俺でもつく。



「まずは名乗らせていただきます………私は〈シェルエッタ=マーラオ〉と申します。マーラオ族のシェルエッタです………私の事はエッタと お呼び下さい」


「そうか、エッタだね。それでエッタが追われていた理由………と言うよりも、ここら辺にエルフの里なんて無いよね?」


「その通りです。私は他のエルフの子たちと、中大陸〈スミタケールの森〉から連れて来られたんです………つまりは、奴隷として人攫いの様に連れて来られたんです」



 やっぱり奴隷感覚で人に攫われてきたんだなぁ。

 それにしても何処の国でもエルフの奴隷化は、禁止されているんじゃ無かったか? という事は、エッタさんは不当な奴隷商たちによって連れてこられたって事か。

 それは何とも言えない境遇だな………他の子たちという事からエッタさんは何とか逃げ出したって事か?



「エッタさんは、その奴隷商たちから逃げられたんですか?」


「はい………連れて来られたエルフの中で、私が1番足が速いので助けを呼べるのでは無いかという事になりまして」


「そういう事だったのか。それにしたって、本で読んだだけだから違うかもしれないけど、エルフ族って魔力量が亜人種の中でトップレベルじゃ無かった?」


「そうですね。他の種族よりも遥かに魔力量はありますが、それを警戒してなのか………この《奴隷の首輪》によって、魔力が止められているんです」



 そういう事だったのか。

 漫画やラノベではエルフは、かなりの魔力量で魔法を使うイメージだったが、なんか黒い鉄の様な首輪が邪魔をして体に魔力を伝えられないらしい。

 まぁとにかく外で話していたって仕方ないし、今は夜中だから孤児院にでも入っててもらおう。



「貴方は入らないのですか?」


「俺は………先に火事を、どうにかするよ」


「そ そうですね!! よろしくお願いします!!」



 エッタさんをシスターと神父に保護させてる間に、山火事になって大変だから鎮火に当たる。



「全然気にしなくて良いよぉ………俺は俺で、この間親父様の お友達からコピーさせてもらったスキルを使うか」


―――スキル・天気操作Level2《雨乞いレインウェザー


「す 凄い………」



 窓から俺が山火事を天気操作スキルで、鎮火しているのをみてエッタさんは呟いてくれた。

 とりあえずは火も消えたから俺も孤児院に戻って、エッタさんと詳しい話をしないとダメだな。



「それでエッタさんは、仲間のエルフを助けたいんだよね?」


「はい。その中には妹もいるので………どうにか助けたいです」


「俺で良いなら手を貸すけど、でも俺の事が気持ち悪いって言ってたから嫌か………」


「そ そんな事は無いです!! あの強さにはビックリしましたし

、天気スキルまで使えるなんて驚きです!!」



 エッタさんは仲間の救出を考えているが、俺からすれば魔法も使えない上に地形に慣れていない、こんな状態で仲間を助けるどころか無駄死にする可能性がある。

 そんな事を美人好きの俺が許すわけがない!!



「それなら俺は、明日から孤児院を出るんだけど、微力ながら手を貸してあげるよ?」


「よ よろしくお願いします!!」


「シスター、親父様。この子に部屋を貸してあげる事とかできたりしますか?」


「もちろんです。エルフ様が止まられるなんて、この小陸では考えられない事ですよ」


「うむうむ。人を助けるというのは良い事だ」



 シスターも神父様も俺が、エッタさんを助けた事に大いに満足しており急いで部屋を準備するのである。



「あ あの私は、貴方をなんて呼べば良いんですか?」


「あっそういえば自己紹介してないか。俺は〈ミナト=カインザール〉っていうから、気軽にミナトって呼んでよ」


「ミナト様………ですね!! 明日から、よろしくお願いいたします!!」



 俺に気持ち悪いと言った子とは思えない程に、可愛い顔で俺に笑顔を向けてくれた。

 ムフフという気持ちになりながら、俺は早朝を迎え妹と弟が泣きじゃくる事を考えて寝てるうちに出発する。



「シスター、神父様。15年間、育ててくれて本当にありがとうございました………行ってこようと思います!!」


「そうか。立派に育って………いつでも帰ってきなさい」


「ミナト君。貴方の家は、ここですからね………辛くなったら帰って来て良いんですからね」



 俺を15年間も育ててくれたシスターと神父様に、深々と頭を下げて感謝を伝える。

 まぁシスターは俺のハーレムに入れたいところだが、このシスターに嫌われてもしたら俺の人生は………。

 とにかくだ、当面の目標はエッタさんの妹たちを、憎き奴隷商から奪還する事だ!!



「それじゃあ、エッタさん。出発しましょうか!!」


「そうですね!! 出発しましょう!!」



 泣きそうな神父様と、手がもげるんじゃないかというくらいに振っているシスターに別れを告げて出発する。

 15年間も世界に出るのを我慢していただけあって、俺の異世界満喫したい欲は溜まりに溜まっている。



「それで、これは何処に向かってるの?」


「これから始まりの街に行こうと思ってます。そこで、ミナト様の冒険者登録をしようかなって」


「おぉ!! 冒険者登録かっ!!」



 冒険者登録、異世界転生をしてから15年目にして、やっと転生ライフらしくなって来たぞ!!

 しかも隣には美人なエルフ様もいると来たもんだ。

 こんな最高な暮らしができるなんて、ララトゥーナ様に足を向けて寝れないくらいだな。



「そういえば、エッタさんの妹さんたちは、何処にいるんですかね? 捜索には時間がかかりそうじゃないですか?」


「場所の検討なら大体ついています。このエルバーグ王国王都ザッツリングに居ると思います!!」



 この小陸には王国が1つしかなく、中陸から連れて来られたエルフたちは王都に居ると、エッタさんは言っている。



「どうして王都に居ると思ったの?」


「奴隷商たちが、私たちを王都の貴族に売ると言っていたので、そうなんじゃないかと思ってます………」


「そうですか。それなら急いだ方が良いかもしれないな………急いで始まりの街に行きましょう!!」



 もしかしたらエルフたちが王都に到着したら、直ぐに売られてしまう可能性がある。

 それなら急いで王都に向かった方が良いな。

 俺とエッタさんは少しペースを上げて、駆け出しの冒険者が集う《始まりの街・フェランテール》に向かう。

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