超人
第23話 王都へ
時は過ぎ、今日から遂に3月……いや、
それは何故なのかティグリスに聞いてみたら、こう返ってきた。
「霞月で1回目の闇の日に、天恵の儀が執り行われるからなんだ。その儀式で神様からの恩恵――いわゆる【天恵】が授けられるんだよ」
どうやら、その天恵とやらが重要らしい。天恵は、簡単に言うと特殊能力のことだ。その力が、実技試験の点数に関わってくるそう。そして、なんと、授けられる天恵は人によって違うという。つまり、どんなに努力をしたとしても、授けられる天恵によっては報われない可能性があるということだ。
結局は……才能。努力よりも才能で決まってしまう。そんな世の中。
「天恵について説明できるのはここまでだね。こればかりは実際に授かってからじゃないと分からないな。詳細は天恵を授かった後に話されるはずだから、今はあんまり気にしなくてもいいよ」
あと、ティグリスはそう言ってたな。詳細はまだ分からないから、天恵の儀を待つとしよう。
***
朝食をとり終わり、そろそろ出発しよう、という時間になる。僕達が向かうのは王都。そこに着いたら宿に行って、1回目の闇の日まで待機。闇の日の午前10時頃に、神殿に到着する予定だ。その神殿で天恵の儀が執り行われるとのこと。
また、王都までは馬車で2日かかるらしい。意外に王都に近いことに驚いた。まあ、馬車があったことも驚きではあるが。どこに仕舞っていたのか検討がつかない。見たこともないしな。
「俺たちも来たぞー!」
そんなことを考えていると、ゼルシスの声が聞こえてきた。
「ゼルシスとシェンシアが来たことだし、行くぞ」
「分かった。今行く」
ソルデウスが僕に呼び掛ける。僕は必要な荷物を持って玄関に向かった。今回王都に行くメンバーは僕、ソルデウス、ステラ、ゼルシス、シェンシアの5人。御者として門番をしている人の友人も王都へ向かうが、彼は到着したら帰ることになる。
全員の準備が完了したので出発する。到着するまでの間に何も起こらなければ良いのだが……。
***
道は舗装されているものの、馬車は当然揺れる。なので、快適に過ごせるとは言えそうにない。このような環境は慣れていると言えば慣れているので、大丈夫だが。この世界に来た最初の頃は大変だったからな。
とはいえ、こんな状況なので集中して本を読めない。ちなみに、僕が今読んでいるのは魔法について書かれた本だ。今までは魔法の勉強をしている暇がないほど、試験に向けて覚えることが多かったから、今のうちに読んでおきたい。
……座学試験では魔法関連の問題は少ししか出ないらしいが。まあ、試験に合格したとしたら、その先に使う知識となるため、覚えて損はない。
それからもアクシデントはなく、「ヒーゲイル」という町に着いた。この町は小高い丘の上にある、小さいけれど活気がある町だ。僕以外の皆は来たことがあるらしく、結構馴染みの深い場所とのこと。そこで僕たちは宿泊し、一日目が終わる。スムーズに進んで良かったな。
――二日目の朝。僕たちは再び王都へ向かって出発した。御者は「予定よりも進みが早いので、今日の夕方には着きそう」と言っていた。
ということで、いよいよ、天恵の儀が2日後に迫ってきた。果たしてどんな儀式で、何が起こるのか……興味深いな。
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