第28話 分離と統合
レイの脳裏に浮かぶは漆黒の鎌。
(ああ、器を乗っ取ったアイツも使ってたなぁ。やっぱりアイツは……)
「アイツ」とやらが使っていた漆黒の鎌を思い浮かべ、苦々しい顔になる。
「……そんなことはどうでもいい。ここで終わらせるわけにはいかないんだ。ここからが始まりなんだよ。『
レイの紅い瞳は決意の
決意に燃える瞳にそっと瞼を下ろす。集中しなければ成功することなど叶わないからこそ、目を閉じて意識を沈ませるのだ。
脳裏に魔法陣を浮かばせ、さらにレイからアイツを分離し、レイに一部を統合させるようにイメージする。
「『
鮮明にイメージしたものを頭の中で描き、集中して
すると、真っ黒だった空間は眩い純白の光に呑まれていき――消滅した。
***
荒れに荒れた森の中に倒れていたレイの
ここら辺に人はいないが、見ていたら直視できないほど眩しい。……それはさておき、その光は数十秒経つと収まった。
すると、レイは起き上がり、周りを見渡す。
「成功……したのか。だけどこの身体で長く動くことはできなさそうだな。仕方ない。あの家に行こう」
レイはあの家のある方向に向かって歩き出す。それから家に着いた時も、未だに空は暗かった。
***
「あれは……夢だったのか?」
僕は色彩の無い空間にいたはずだが、気づいた時には客室のベッドに横たわっていた。
霧の奥から現れた長身の男に、僕と瓜二つの少年。彼らは一体何だったのだろう?
まあ、考えても無駄だし、とりあえず部屋の外に出るか。
扉を開けると、ギギィ……という
客室からリビングらしき部屋に向かう途中、金髪少女……名前は確かステラ、に遭遇した。
「あ……おはよう、ございます」
緊張しているのか、慣れていないからかわからないが、少し震えた声を出すステラ。
「……おはようございます」
挨拶をされたので一応返しておく。それが礼儀だしな。
それからは一言も交わすことなく無言で同じ方向に向かって歩く。この家は古いが、中々大きいためリビングらしき部屋に着くまで少し時間がかかる。とはいえ、ゆっくりとあるいて数十秒ほどだろうが。
リビングらしき部屋……もうリビングでいいか。に辿り着くまで、気まずいような名状しがたい雰囲気のままだった。
ほとんど接したことがないので仕方がないことだろう。僕がコミュ障ということではないはずだ。……百歩譲ってコミュ障だとしても、病院にずっと籠っていたから仕方がない。
リビングに着くと、ソルデウスが仁王立ちして待ち構えていた。
「朝食が終わったらすぐに稽古を始めるぞ」
ふん、と鼻を鳴らして椅子に向かい、座ったソルデウス。結局何がしたかったのかわからない。
質素な料理を食べ終えると、ティグリスが「こっちにおいで」といい席を立つ。
ちなみに、ティグリスは初めからリビングにいた。
……そんな感じで、僕の一日が始まる。
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更新が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。今後は通常通り、2、3日に一回の更新をしていこうと思います。
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