第7話 最高機密任務
「君に呑んでほしい要求は――」
私は、この要求を突きつけることになった最大の理由であるあの任務について思い出していた。
◇
私には、あの御方から与えられた最高機密任務がある。内容を詳しく言うことはできないが、これだけは言っておこう。その機密任務に失敗すればこの国が揺らぎ、最悪の場合には崩壊してしまう。その上、私はその件について直接干渉することができない。
その任務を達成するためには13歳~15歳の者が必要なのだ。その年齢の者しか直接干渉することはできないのである。
その任務を達成するための班に導入できる人材を私は1人しか知らない。何せ、条件が厳しいのだ。その条件は2つあり、一つ目は「年齢が13歳~15歳なこと。尚、13歳だと更に良い」。2つ目は「任務を遂行できるぐらいの強い者」だ。
2つ目の条件は、1つ目の条件と相まって難易度が上がっている。本来ならこの任務を遂行するためには私やティグリス並みの強さが必要だからだ。
……この際なので、ティグリスに任務の内容を言っておくか。あいつは信頼できる。
私は執務室から出て、ティグリスの部屋に向かう。しかし、ティグリスはそこにはいなかった。
ここにいないのなら……あそこしかないな。急いで向かおう。
「
“
詠唱を終えた瞬間に赫い雷が迸り、私は「ボノムエンバイオロメント大森林」で数体のオーガを吹き飛ばしていた。
『オーガを8体討伐しました』
『経験値を160獲得しました』
『LVが■3→■4にアップしました』
……久方ぶりのLVアップか。最近は全然上がらなくなったからな。
「兄さん……僕の獲物を盗らないでくれよ」
案の定、近くにはティグリスがいた。
「すまないな。だが、今はそれどころではない。早く家に来い」
「はぁ……。分かったよ」
*
家に着いた後、私は任務の内容を話した。
「この任務は、とある人物を始末することで達成される。ターゲットの特徴は3つある。1つ目は魔族だということ。2つ目は13歳になる少女だということ。3つ目は非常に魔法の扱いに
「……なるほど。ところで兄さん、ターゲットは本当に僕並みの実力を持っているの?」
「おそらくそうだ。噂によれば、〈
「確かにそれは化け物だね。〈
これほど強いのに13歳であるというのだから驚きである。
「ターゲットを13歳〜15歳の者が始末するのは不可能といっても過言ではないくらいに難易度が高い。さて、どうするか……」
その議論は、何と翌日まで続いた。
***
「君に呑んでほしい要求は――ソルデウスと一緒に王立人材育成学園に入学してもらうことだ」
どんな無茶苦茶な要求を突きつけられるのか気が気でなかった僕だが、その言葉を聞いて拍子抜けした。
王立人材育成学園に入学するだけなのか? ……これは王立人材育成学園のことを知らないから言えることだがな。
「あの……王立人材育成学園とは何でしょうか?」
知らないので遠慮なく尋ねる。これを知らないと話が進まないからだ。
「ぬ? 王立人材育成学園を知らないのか? 君の年頃なら知っているはずのことなんだが……」
「私は記憶の一部が欠損していまして……」
咄嗟に嘘が口から出た。まあ、嘘とは言っても半分は本当のことだが。
「そうか……。なら王立人材育成学園について初めから説明しよう。ティグリス、資料を持ってこい」
「全く……人使いが荒いんだから……」
ぶつぶつと呟きながら家の中にある階段を登っていくティグリスを見届けた後、アル村長は口を開いた。
「王立人材育成学園とは……簡単に言うと種族も身分も関係なく、優秀な人材を発見して育成することを目的としている国王陛下がお造りになられた学園のことだ。尚、地方にある人材育成学園奴隷を除く誰しもが13歳になると強制的に入学させられる。しかし、王立人材育成学園は認められた者でないと入学ができない名門学園だ」
僕が王立人材育成学園に入学することでアル村長側に得られる利益は無いと言っても過言ではない。なのに入学を要求しているということは、何か裏があるということを裏付けている。
「アル村長。回りくどい言い方はやめて、本当の目的を話してください」
ここは率直にいかせてもらう。目的を知らないと不利な状況に陥りかねない。
「……後に言う予定になっていたが、まあいいだろう。君が学園に入学してもらいたい理由は――ソルデウスと一緒にとある人物を始末してほしいからだ」
……僕に突きつけられた要求は、何と「とある人物」を
――――――――――――――――――
まさかの急展開です! ……とは言っても、入学までに時間はあります。入学は13歳からなので。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます