第31話 他の研究所が危機みたいです1

 朝、普通に起きて、朝食を摂り、学校に行く。

 テスト前になると、ちょっとだけ勉強時間が貰える。

 教科書を読むのと、問題集を解くだけだけど。僕だけ自習だな。4人は、それぞれだ。黛さんは、時々教室にいないし。焔さんは、スマホを見ている。楓さんと茜さんは、尽きることない会話だ。

 それと、モンスターの討伐だ。

 スマホが鳴ると、黛さんが〈転移〉させてくれる。



 サクッと討伐して、教室に戻って来た。


「中型の、硬いタイプだったね。変異種ではないんだけど、私たちの苦手なタイプだった。才羽の加入は、大きいよね」


「毎日一回くらいは、呼び出されるんですね」


「昔は、酷かったらしいよ~」


「毎日この街だけでも、日に十数件だった。でも、今月に入って変だと思う。もしかすると、知られていない『覚醒者』がいるかもしれない。呼び込んでいるのかもね……」


 一番の古参な黛さんは、学生生活どころではなかったんだな。

 ここで、牧先生が来た。


「牧先生。今日は、自習じゃなかったの?」


「ちょっと待ってね~。テレビをつけるから」


 そこには、巨大なモンスターが暴れる姿が、映っていた。


「何ですか、あれ?」


 でかい……、長高20メートルくらある。

 それと、ゴジラ型だ。


「あちゃ~。大型の災害級だね~」


「来るかな?」


 皆、なんでそんなに落ち着いているの?

 ここで、空飛ぶ人が映った。

 風魔法みたいだな。楓さんより、茜さんに近い。


「おっ、王寺おうじじゃん……。第六研究所か~」


 知り合いなのか? そうか、他の街にも、僕たちみたいな『覚醒者』がいてもおかしくない。

 そして、多少なりとも、交流があってもいいはずだ。

 僕もそのうち、紹介して貰えるんだろう。


 テレビを見る。


「……茜さんより、随分とレベルが低いですね」


「レベルなんて概念は、ないんだけどね。風の操作では、王寺は茜よりも精度が低いだけだよ」


 レベルはない? 魔力は、成長しないと言うことかな? 以前、魔力操作と言っていたけど、成長も期待できない?

 それと……。


「『超能力者』の映像なんて、放送していいのですか?」


 世間一般には、『覚醒者』では分からないと思う。ここは、『超能力者』だよね。


「この映像は、特秘回線だよ? 一般回線では、見られない映像なんだ」


 やっぱり、秘密なんだ。僕も注意しないとな。


「空を飛ぶのは、止めておいてね。一般市民の目につくから」


 僕は飛べないけど? ビルからビルに飛び移るくらいだ。一般人の範囲だよな。

 フリーランニング? パルクール?


「あっ、王寺が落ちた」


 ブレス攻撃かな?

 超音波みたいな咆哮が、王寺さんを襲った。そして……、墜落だ。


「他の『覚醒者』は、映らないのですか? 足元にいる? 別な作業を行っている?」


 どれだけの歴戦の猛者かは、分からないけど、単独では無理だと思う。


「あの研究所は、王寺だけじゃなかった? 他は、3月で引退していると思う。前線に出せない二軍は……、少々いたかな?」


 ……研究所によっては、1人なの? 第五は、5人なのに?

 偏りが、凄いな。


「よし! 準備しろ~。まゆずみ~。よろしく~」


「……へい」


 寝ていた黛さんが、起きた。

 僕も準備をする。何時ものジャケットにヘルメットだ。


 茜さんたちは、スカートを捲り上げて、スパッツの確認だ。

 なんか、緩くない?


 ここで、牧先生のスマホが鳴った。

 一分ほどの応答の後に、出動命令だ。


「そんじゃ行ってこい! 骨は拾ってやるぞ~」


「「「「う~す」」」」「……」


 ここで、体育会系になったな。

 黛さんが、空間の歪みを作り出した。





 今僕は、モンスターから少し距離のあるビルの屋上に、皆といる。


「市民の避難は、終わっているんですかね?」


「ああ、それは大丈夫。皆、シェルターさ。生体感知装置もあるしね」


 さすがに、スライム研究所のある街に住むのであれば、心得はあるか。

 これならば、多少暴れても大丈夫そうだな。


「……王寺の確保を、最優先」


「そだね。生きているだろうし。牧先生に回復して貰わないとね」


 全員の意思確認が終わった。まずは、王寺さんという人を救う。

 モンスターへの攻撃は、それからだ。

 僕たちは、モンスターの足元に向かった。




 「モンハンNow」が、世界観的に近いかもしれません。

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